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ピープルアナリティクスを支える4種類のデータ
ピープルアナリティクスを支えるデータは、大きく次の4種類に分けられます。
- オペレーショナルデータ:人事業務で日常的に扱う定型データ
- センチメントデータ:エンゲージメントサーベイやパルスサーベイなど、従業員の主観を示すデータ
- パーソナリティデータ:適性検査や360度評価など、性格傾向や行動特性を指標化したデータ
- アクティビティデータ:ツールの操作履歴やウェアラブルセンサーから得られる、従業員の行動データ
以下、それぞれを説明します。
オペレーショナルデータ
人事システムや給与・勤怠システムに蓄積される、日常業務で扱うデータです。氏名・年齢・職位・評価・給与・異動履歴など、社内における公式記録が含まれます。
オペレーションデータは、正確かつ網羅的で、過去から現在までの推移を時系列で追える点が強みです。採用計画、人員配置、評価・報酬設計などの基礎資料となります。一方、人や組織に変化が起こった「原因」をこのデータだけで特定するのは困難です。
センチメントデータ
人や組織の課題を深掘りするのに有効なデータです。エンゲージメントサーベイやパルスサーベイ、1on1のメモなどで記録した従業員の声を直接扱います。課題の早期発見や、組織の温度感の可視化に役立ちます。
離職リスク検知、エンゲージメント向上施策、組織風土づくりなどに活用されますが、人の感情は揺れ動くため、定期的なデータ取得が欠かせません。設問設計を誤ると有効なデータが得られず、回答者のバイアスも強く影響するため、調査目的と分析設計がカギになります。
パーソナリティデータ
従業員の性格傾向や行動特性を可視化したデータです。適性検査や360度評価、コンピテンシー診断などから取得します。採用時のカルチャーフィット判定や配置・育成の個別最適化に活用が期待されます。上長と部下のコミュニケーション支援ツールとして用いられることもあります。
一方、検査結果を固定的なレッテルと受け取られてしまうリスクがあり、倫理的配慮を踏まえたフィードバックが必須です。行動変容を促す「気づき」として活用する視点が欠かせません。
アクティビティデータ
従業員の行動から抽出したデータです。データの取得の仕方によってさらに2種類のデータに分かれます。
- ログデータ:PC操作ログ、社内チャットの送受信履歴、スケジュールツールなど
- センサーデータ:ウェアラブルデバイスで取得した位置情報、体の向き、発話量など
これらはいわゆるビッグデータとなり、本人も気づいていない行動特性の発見につながります。たとえば、マネジメントスタイルや社内コミュニケーションパスの可視化が可能です。ただしデータ量が膨大で扱いが難しいこと、プライバシー配慮が絶対条件となることには十分注意が必要です。
「結果」を示すオペレーショナルデータ、「感情」のセンチメントデータ、「個性・特性」のパーソナリティデータ、「行動」を示すアクティビティデータ——これらを組み合わせることで、人や組織の課題を多角的に捉えられます。