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日本企業はスキルベース組織を導入すべきか?「日本型スキルベース」のススメ | 第3回

スキルベースと労働市場—採用は「学歴不問・スキル重視」が当たり前、「人事異動への適用」は慎重に

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人事異動や適正配置への適用は、デジタル・IT分野に留めるのが得策か

 外部労働市場の次は内部労働市場である。内部労働市場とは、企業内部での人材流動である人事異動や適正配置のことである。欧米のリーディングカンパニーでスキルベース組織の導入が進む主要因はこのニーズであり、スキルベース組織の本丸といえる。

 この領域でも、デジタル・IT職といった専門職からスキルベースを導入したい。この分野では、日本でもプロジェクト型の仕事が多く、以前から組織の組成(人材の集め方)もスキルベースで行われている。スキルベースという言葉は使わずとも、プロジェクトマネージャが頭の中で「セキュリティはAさん、ネットワークはBさんにやってもらおう」と思い浮かべ、スキルを起点に年次や経験、育成的観点も加味しながら人材構成を考えているはずだ。スキルベースは、それまで属人的であったその作業を可視化して、組織全体で共有し、合理的に人材を配置しようとするものだ。

 また、そのスキルの集め方も、デジタル・IT分野では1人月に満たない確保の仕方も一般的であり、その点でもスキルベースとの相性が良い。たとえば、「セキュリティの仕事は週1日程度だから、Aさんから0.2人月分を確保しよう」といった感じである。

 プロジェクトメンバーの確保でも、これまでの社内人脈を駆使してメンバーを集めるやり方から、リソースマネージャ(多くの企業では部長職やそのスタッフ)がスキルベースを活用した組織全体での適正配置に変更すべきであろう。その際、今後はAIを駆使して再配置の候補者などをリストアップしてもらうのがよいだろう。

 つまり、この分野へのスキルベースの適用は、「これまで属人的かつアナログに行ってきたリソースマネジメントを、合理的かつデジタルに行って高度化するもの」だといえる。そう考えると、この分野への適用はけっして難しいことではなく、今後日本企業においても事実上の標準になる可能性が高い。

スキルベースとの相性が悪い、日本企業ならではの職種

 一方、日本企業を代表する職種である「総合職」では、スキルベースによる人材の適正配置はなじまない。総合職とは、直截にいえば「何でもやる」という職種であり、すべての職務(ポジション)を担当する能力が求められる。もちろん、最初からそのようなスキルを持ったスーパーマンは存在しないので、数年ごとのローテーションや昇格を通じて、社内の組織文化に適したゼネラリストを長い時間をかけて育成していくのである。

 そういった総合職の考え方とスキルベースは相性が良くない。特に欧米で活用されている「1つのジョブを複数のスキルに分解して複数のメンバーで担う」といった用途にはまったく適さない。

 ただし、全てを否定するわけではない。「日本企業ならではのやり方」で人事異動・適正配置にスキルを活用する方法はあるので、その道を探るべきである。これら総合職の問題は、日本企業の人事を巡る最大の論点なので、次回で論じることにする。

 次回の第4回連載では、「ジョブ型」「メンバーシップ型」「スキルベース型」という3つの雇用形態や人事制度・人事評価へのスキルベースの適用について詳細に論じたい。

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この記事の著者

角田 仁(ツノダ ヒトシ)

1989年に東京海上火災保険に入社。主にIT部門においてIT戦略の企画業務を担当する。2015年からは東京海上のIT企画部参与(部長)および東京海上日動システムズ執行役員。2019年、博士号取得を機に30年間務めた東京海上を退職して大学教員へ転じ、名古屋経済大学教授や千葉工業大学教授を歴任した。現在...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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