パーソル総合研究所は、「新卒就活の変化に関する定量調査」の結果を発表した。
就活の通年化と構造変化
就活を開始する時期について、2019年は「大学3年生 冬」になると一斉に動き出すのに対して、2025年は「大学2年生 冬」までにすでに2割が就活を開始している。難易度別では、難関大学では早期から活動を開始する就活生が多い。
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就活で参考にする情報源としては、2019年と2025年いずれも「就活サイト」がトップ。2019年から最も増加したのが「企業のSNS公式アカウント」で、「そのほかのSNS」の増加も大きく、就活生にとってSNSは重要な参考先となっている。
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内定者数を19卒と25卒で比較すると、25卒のほうが多くの企業から内定を得ており、2社以上の割合も約6割となっている。就活生の約8人に1人は5社以上から内定を得ていた。偏差値別では、難関大学の就活生がより多くの内定を得ている。
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採用活動の難化と企業の課題
企業の採用担当者に近年(直近5年間)の新卒採用の変化を調査すると、 47.4%の企業で採用にかかる工数と負荷が増加。採用状況を見ると、内定辞退者の数が38.0%の企業で増加した。
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企業の採用成果は、「必要な人材が質・量ともに採用できていない」が38.3%と高い。特に企業規模が500人未満の企業では5割を超えた。質と量を比較すると、全体的に採用人材の「質」の課題のほうが多いことが分かる。
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学生の価値観とキャリア観の変化
就活で重視していることを8項目合計で10点となるよう聞くと、2019年に続いて2025年も「仕事とプライベートが両立できること」がトップ。大きく下がったのは「やりたい仕事ができること」で、増加したのは「勤務時間、勤務場所など、働き方が柔軟に選択できること」であった。
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学生のキャリアに対する意識で近年伸びたのは、「テレワークや在宅勤務など、勤務場所に融通がきく職場で働きたい」「自分にとって、働くことはお金を得るための手段にすぎない」といった意識。減少率が最も大きかったのは、「仕事を通じて成長したい」であった。
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また、企業側が感じる「採用した人材」の変化を見ると、5年前と比較して顕著に上がったのは、「リモートワークのスキル・知識」「デジタルスキル・知識」「データリテラシー・データ分析」「真面目さ」など。一方、「起業家精神」「積極的な態度」「リーダーシップ経験の多さ」などは下がった。
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インターンシップの実態と学生の視点
2025年のインターンシップ参加率は2019年より約7ポイント上昇。就活生の約7割が経験している。また、難関大学の就活生は、中位以下大学の就活生よりもインターンシップ経験率が高い。
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インターンシップの経験内容と入社意欲の相関関係を見た(相関分析:インターンの経験内容24項目×入社意欲)。相関係数の上位には、その職場・会社・仕事の「リアリティ」が分かる項目が並んだ。下位には、社員との交流、幹部との交流に関する項目が並んでいる。
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2018年に実施したインターンシップ調査では、「不安や心配事を聞いてくれた」が最も企業理解を促進していたが、2025年は「仕事の忙しさ・厳しさが理解できた」が最も企業理解を促進していた。
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ハラスメントという新たなリスク
企業の新卒採用担当者への調査によると、2025年現在、新卒採用でオワハラ(学生にほかの企業の選考を辞退するよう強要する「就活終われハラスメント」の略)・セクハラなどのハラスメントが自社で発生したことがあると認識している企業は28.3%。このうち11.3%は過去1年以内にあったと回答。「自由闊達で開放的」な風土、「成果主義・競争」的な風土の企業でより多く発生している。
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企業が実施しているハラスメントの対策は、社内の規定整備と、面接官や社員に対する研修が多く、5割を超える。学生向けの相談窓口まで至る企業は比較的少なく、約3割となった。
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なお、調査の概要は次図のとおり。
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