新卒研修をアップデートする3つのポイント

では、テクニカル×ビジネスのスキルを育成するために、企業は新入社員研修をどのように更新していけばよいのだろうか。森氏は、カリキュラムのアップデートポイントを3つ紹介した。
1つ目は「デザイン思考」の導入だ。デザイン思考とは、ビジネスなどにおける未知の課題に対して、解決方法を考える思考法・マインドセットのこと。経産省が提唱するデジタルスキル標準の中でも、このデザイン思考が重要スキルに位置付けられている。
このデザイン思考を新卒研修に取り入れることによって、テクノロジーに強い社員はビジネスとのつながりを見出し、ビジネス側にも意見を出してよいという感覚を養える。一方、ビジネス側の社員はデジタルの知識を得て、これまでにない事業や既存事業の効率化を考え出せるようになるという。
「当社では、まずデザイン思考のワークショップを行ってつくるものを決め、その後チームで開発を行うという研修を提供しています。自分たちで企画したものを自分たちでつくるという体験は、新入社員にとって非常にモチベーションが上がるポイント。実際、デザイン思考を行ったことで、『もっとスキルを伸ばしたい』『自社製品を良くしていきたい』という気持ちが芽生えるという成果も出ています」(森氏)

2つ目は「デジタルスキルの効果測定」。先述の調査データのとおり、受講生のITスキルの差が広がっているにもかかわらず、研修前後のスキルの測定を実施していない企業が多いのが現状だ。
そこで森氏は、「研修前にレベルを測るテストを実施して、結果別に研修コースを分ける」ことを推奨。研修の終了後にもアセスメントを実施して、カリキュラムの目標を達成できたかを振り返ることが理想的だ。アセスメントの結果をもとに次のカリキュラムを更新できるほか、研修の成果を経営陣に上申する際の重要なファクトにもなる。
そして3つ目が「自己学習スキルの習得」だ。
技術の変化は激しく「去年の常識が、今年は使えない」といった事態が増えている。具体的にいえば、2023年時点では生成AIが苦手としていた汎用的な知性を計測するテストで、現在では先進的なAIモデルは人間の平均を超えるスコアを達成している。
IT・DXのスキルを習得しても、一部の領域、特にAIなどの最先端領域に関してはすぐ陳腐化してしまう。そのため、知識自体を教えることよりも、新しく出てきた知識を自分で獲得していくための学習習慣や自己学習力を身に付けてもらうことが重要なのだ。

森氏は、自己学習力を身に付けるためのヒントとして「アクティブラーニングやファインマンテクニックといった手法を使って、自分の中で知識を理解し、分かりやすく人に伝えるというプロセスが効果的」と語った。
また、自己学習には「質問力」も必要になる。分からないことを質問できるスキル・マインドを育むカリキュラム設計は、新入社員研修においては特に重要だ。
ギブリーでは、こうした3つのアップデートを実現する新入社員研修のサービスを提供している。「Track Training」というブランドで、数多くのテクノロジー企業に導入されている。

この研修は生成AI研修や、受講生のスキルに合わせたクラス・カリキュラム設計に特徴がある。また、受講生の習熟度向上にコミットする“Giver”な講師がそろっている。さらに、企業の課題に合わせて最適な育成プランを作成してくれるという。
「Track Trainingは、アセスメントを実施したうえで階層別に研修を行い、研修後の目標到達度合も精密に測定。上申しやすいレポートまでいっしょにつくることで、企業のDX人材育成を支援します」(森氏)