リクルートマネジメントソリューションズ(リクルートMS)は9月24日、従業員規模が50名以上の企業に勤める25歳~59歳の正社員7105名を対象に行った「働く人の本音調査2025」の結果を公表した。
「静かな退職」とは、最低限な仕事だけを行い、それ以上の業務や貢献をしない働き方を指す。調査では、「自分の同僚や上司に静かな退職をしている人がいる」と感じる人が27.7%に上り、約4人に1人が職場でその存在を認識していることが明らかになった。
また、静かな退職者が周囲にいると感じている人は、そうでない人と比べて主観的幸福感が統計的に有意に低いことも分かった。職場に静かな退職者がいることで不利益を感じたと回答した人は55.1%にのぼり、不利益の主な内容として「仕事量が増える」「処遇や評価への不公平感」が指摘された。特に管理職では、静かな退職者を部下に持つことで負担が増すという声が目立った。

一方、「同僚や上司の静かな退職によって恩恵を受けた」と感じる人も存在。恩恵の具体例としては、「相対的に自分の評価が上がった」「業務効率化が進んだ」などが挙げられた。

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さらに、静かな退職者が周囲にいても、「会社が成長支援をしている」「従業員を正当に評価している」と実感している人は、主観的幸福感が高いことが示された。特に、人事評価や処遇の公正性が担保されていると感じる場合、不利益感が和らぎやすく、逆に不公平を感じる環境ではやる気の低下につながりやすい結果も出た。
同社は今回の調査結果について、静かな退職はどの組織にも一定数自然に生じるものであり、必ずしも排除や防止の対象とは限らないとしつつ、人事制度の公正性や成長支援の重要性をあらためて示唆した。現場でこうした現象に直面する場合は、人事担当者だけでなく、組織や個人による制度やコミュニケーションの積極的な活用が、従業員の幸福感向上に寄与するとしている。
なお、同調査の概要は次図のとおり。

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