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ピープルアナリティクス超入門!| 第10回

従業員の声をデータに変える「組織サーベイ」その③:分析とフィードバックで組織を動かす技術

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組織に変化をもたらす分析結果のフィードバック

 分析で課題の優先順位が見えても、そのままでは組織は変わりません。サーベイを通じた組織の変化は、その分析結果をどう返すか——つまりフィードバックのプロセスにかかっています。データ分析は出発点にすぎず、フィードバックを通じた対話が変化のきっかけとなります。

フィードバックの2つの機能:トップからのメッセージと現場の対話

 効果的なフィードバックには、「経営からの発信」「現場の対話」という2つの機能があります。

経営からの発信

 経営からのサーベイに関する発信は、従業員の声が経営に届き、真剣に受け止められていることを実感してもらえる場です。良い結果であれ悪い結果であれ、それを包み隠さず共有し、そこから会社として何を大事にしているのか、何を課題として捉えているのか、そして何に取り組むのかを明示することで、組織の方向性がはっきりします。

 また、経営層のコミットメントを示すこと自体が組織変化の前提条件です。現場の従業員にとっては、日々の業務が最優先になりがちです。経営から明確な意思表示がなければ、サーベイ結果に基づく改善活動よりも、目の前のタスクや数値目標が優先されます。だからこそ経営が「会社として取り組むべき重要課題」を明確にメッセージングすることで、現場も気兼ねなく組織改善に時間とエネルギーを割けるようになるのです。

現場の対話

 実際に変化が起きるのは、従業員が働く現場です。サーベイのスコアは指標にすぎず、その背景にある要因は現場での対話からより鮮明に見えてきます。ここで重要なのは、従業員を単なるデータ提供者ではなく、課題解決の当事者として巻き込むことです。

 そのためには、チーム単位で率直な対話ができる場が必要です。自分たちの結果を確認し、「この数字を見てどう感じるか」「どんな経験が背景にあるか」といった問いを投げます。個人ではなくチームとして課題に向き合い、数字の裏にあるストーリーを共有することで、自分事として次に何をすべきかを考えてもらえるようになります。

期待値をマネジメントする:優先順位とメッセージング

 フィードバックのゴールは、従業員に「組織がどう動くのか」を理解してもらうことにあります。その際に大事なのが期待値のマネジメントです。

 やることを明確に伝えるのはもちろん重要ですが、リソースには限界があります。だからこそ「どこに注力し、どこには注力しないのか」をはっきり示すことが欠かせません。あえてやらないことを明示することで、従業員の期待が現実に即したものとなり、結果的に信頼につながります。

 フィードバックは単に数字を返すことではなく、組織の優先順位を対話とメッセージングを通じて共有する活動なのです。

*     *     *

 組織サーベイは一度やったら終わりのイベントにしてはいけません。サーベイ→分析→フィードバック→アクション→効果測定→次回サーベイ、というサイクルを継続的に回すことで組織自体が学習し、成長していきます。

 最も避けたいのは、分析やレポート作成そのものが目的化してしまうことです。スコアはスタート地点にすぎず、その裏にある従業員の体験や感情に寄り添い、対話を通じて意味を引き出すことで、組織に変化を起こせます。そしてこのプロセスは人事部門だけでは実現できず、経営と現場の協力が不可欠です。

 ピープルアナリティクスというとデータ分析に偏りがちですが、データの価値を最大化するカギは数字を見ることではなく、そこから動くことにあります。持続的に強い組織をつくるためには、次のアクションにつなげる姿勢こそが重要です。

 サーベイの本当の成果はレポートではなく、その後に起きる行動にあるということを意識しておいてください。

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この記事の著者

友部 博教(トモベ ヒロノリ)

東京大学大学院で博士号を取得後、東大、名古屋大、産総研などでコンピューターサイエンスの学術研究に取り組む。2011年、DeNAに入社し、アプリゲーム分析およびマーケティング分析などの部署を統括、その後ピープルアナリティクス施策を担当。メルカリの人事を経て、ビズリーチに入社。現在はビズリーチ Work...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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