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フィードバック経営 「沈黙の組織」から「高め合う組織」へ | 第1回

社員の声の96%が経営に届かない——あなたの会社にも潜む「沈黙」の正体

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 社員の声のうち、経営に届いているのはわずか4%——。残りの96%は、現場から管理職へ、管理職から経営層へと上がるたびに少しずつ削られ「沈黙の組織」となっていきます。誰も望んでいないはずなのに、なぜこのような状況が起こるのでしょうか。この問いは、私にとって他人事ではありません。私自身が、かつて沈黙の組織をつくった張本人だからです。沈黙の組織から脱却すべく、従業員との対話を重ねながら試行錯誤し、組織改革を続けました。結果的に、「働きがいのある会社」中規模部門で日本初の7年連続1位を獲得し、並行して業績も向上しました。本連載は、私が経験してきた失敗と再生から得た知見を、拙著『フィードバック経営 「沈黙の組織」から「高め合う組織」へ』(日経BP)をベースに全5回でお届けします。第1回は、なぜ組織の沈黙が生まれるのか、根本にある構造と6つの症状を読み解きます。

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経営者が「会社の風通し」の悪さに気づけない理由

 会議で本音は出ない。現場の問題は上に届かない。隣の部署が何をしているか分からない。「会社の風通しが悪い」──現場から上がってくるこの言葉、人事担当者なら何度も聞いてきたのではないでしょうか。

 私は風通しの正体を「声」と捉え直しています。声が組織の中を巡っているか、いないか。風通しの良し悪しはここで決まります。

 「無知の氷山(Iceberg of Ignorance)」と呼ばれる調査があります。1989年に発表されて以降、組織論で繰り返し参照されてきました。現場の問題を一般社員は100%認識している一方、経営層に届くのはわずか4%にすぎない──そんな調査結果です。残りの96%は、現場から管理職、管理職から部長、部長から役員へと上がるたびに削られ、最後には「特に問題ありません」という報告に変わっていきます。

 経営者が「うちは風通しがいい」と感じているとき、その手元に届いている情報は、すでに何重にも“ろ過”された後のものです。届いていない96%の中にこそ、組織の不調を知らせるサインが含まれている。これが、本連載で扱う「沈黙の組織」の出発点です。

「沈黙の組織」をつくった張本人は、私自身でした

 2011年10月、私は外資系IT企業であるコンカー日本法人の初代社長に就任しました。経営の経験はまったくありません。事業の立ち上げも、組織づくりも、文字どおりゼロからのスタートです。

 本社からは絶えず成果を求められる立場です。「早く結果を出さなければ」と焦るあまり、ひたすら目の前の数字だけを追いかけました。組織づくりは後回し。即戦力が欲しいばかりに、文化や価値観の合わない人材を採用し続けました。

 ある日、一通のメールが、私を採用してくれた直属の上司である、米国本社のマイク・エバーハードの元に届きます。差出人は、コンカー日本法人の社員でした。

 「あの人が社長を続けるなら、日本進出は失敗する。替えたほうがいい」

 私に直接進言することを、その社員は諦めていたのです。

 会議室では誰も口を開かない。会議室を出た途端、「三村は現場をわかっていない」という声が漏れ聞こえる。社員は自分の机の上の仕事だけを片づけて帰る。自分の業務の「半径5メートル」しか見ていない組織が、そこにありました。

 現場の声は経営に届かず、私の考えも現場には届かない。気がつけば、会社を良くしようと声を上げる人は、もういませんでした。

 恥ずかしながら、この沈黙の組織をつくった張本人は、私自身です。

 ただ、ここから組織を立て直した道のりもまた、私自身が歩いてきたものです。 何が組織を沈黙させていたのか。そして、どうすれば声を取り戻せるのか。 失敗の渦中で考え続けた問いが、「フィードバック経営」の出発点になりました。

次のページ
組織が「壊れたエアコン」になっていないか

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この記事の著者

三村 真宗(ミムラ マサムネ)

株式会社U-ZERO 代表取締役 CEO 兼 CPO

慶應義塾大学卒業後、創業メンバーとしてSAPジャパン株式会社に入社。マッキンゼー・アンド・カンパニー、ベタープレイス・ジャパン株式会社などを経て、2011年に株式会社コンカーに参画。代表取締役社長として、社員一人ひとりの声を経営に活かす組織づくりを徹...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://hrzine.jp/article/detail/7887 2026/06/22 08:00

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