沈黙するのは個人の問題ではない
思い当たる症状があった方は、こう考えたかもしれません。「うちの社員が消極的なだけではないか」「世代の問題ではないか」と。
私は明確に否定したいと思います。「うちの社員はおとなしい」「日本人は意見を言わない国民性だから」。沈黙の原因をこう片付けるリーダーは少なくありません。しかし、居酒屋では会社の課題を的確に語る人が、翌朝の会議では一言も発しない。ところが、風通しの良い会社に移った途端、活発に意見を出すようになる。これもよく聞く話です。声を上げられるかどうかは、個人の性格ではなく組織の環境に左右される部分が大きいのです。
沈黙は「症状」であり、その奥には「原因」があります。私は原因を「3つの沈黙の壁」と呼んでいます。
- 迷いの壁……「何を言えばよいか分からない」
- 諦めの壁……「言っても何も変わらない」
- 恐れの壁……「言ったら不利益を被るかもしれない」
この3つの壁が組織のなかに積み上がるとき、先ほど見た6つの症状が現れます。逆に、壁を1つずつ取り除くことができれば、組織は再び声を取り戻します。
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次回は、6つの症状の根本にある、3つの「沈黙の壁」について、具体例を交えて解説します。そのうえで、3つの壁を乗り越えるための「フィードバック経営」3本の柱である「経営理念の実装」「VoEサイクルの確立」「フィードバック文化の醸成」を紹介します。
なお、本連載の土台となる拙著『フィードバック経営 「沈黙の組織」から「高め合う組織」へ』(日経BP)では、沈黙の組織がどう生まれ、どう変えられるかを5部構成で体系化しています。富士通、キッツ、住友ファーマ、デロイト トーマツ、アストラゼネカ、弥生——業種も規模も異なる6社の実践事例も収めました。

