実践を9ヵ月に延長 「バディ制度」と部門横断の交流で進化する2期
——1期を終えて、どのような成果が見られましたか。
湯坐 当初は、デジタルになじみのない参加者が多く、本人たちも私たちも、どのような姿で修了するのか見えていませんでした。しかし最終的には、スキルの習得にとどまらず、本業に貢献する施策につながりました。修了後も全員がさまざまな案件を推進し、出身部門の環境を変えたり、周囲に影響を与えたりしています。
日置 制度の中で企画したプロジェクトを本人がそのまま推進しているケースもあれば、出身部門の別の担当者が引き継いでいるケースもあります。研修期間中だけの成果物で終わらず、事業部門に戻った後も取り組みが続いています。
——2025年10月に始まった2期では、どのようにプログラムを変更したのでしょうか。
日置 1期では、各トレーニーの成長面でも各事業部門への貢献面でも、実践の効果が非常に大きいとわかりました。そこで、講義をできるだけミニマムにし、実践期間を延ばしました。現在は3ヵ月の講義の後、9ヵ月かけて個別プロジェクトに取り組んでいます。
ただ、実践期間を延ばすだけというわけにはいきません。そこで、2期から本格的に始めたのが「メンター・バディ制度」です。各トレーニーに対し、取り組むテーマや業務との親和性を踏まえて、DX本部の部課長レベルの社員をメンター、DX専門職をバディとしてアサインしています。いっしょにプロジェクトを進めることで、トレーニーはDXの実践的な仕事の進め方を学べます。
一方、メンター・バディとなるDX本部の社員も、事業や現場への理解を深められます。ビジネス人材がデジタルを学ぶだけでなく、DX人材もビジネスを学ぶ。双方の理解を広げていくことも、2期で重視している点です。
——2期生は、どのようなメンバーで構成されていますか。
湯坐 三井不動産から5名、グループ会社から8名の計13名です。オフィス、住宅、ホテル、商業施設など、さまざまな事業の社員が集まりました。年齢も20代から40代までと幅があります。
デジタルに関する知識にも幅があり、すでにある程度理解している人もいれば、基礎から学びはじめる人もいます。年齢や業務経験、出身会社の異なる人が一堂に会し、1年間学ぶ機会は、社内でもあまりありません。
——参加者同士にも、横のつながりが生まれているのでしょうか。
湯坐 互いの業務を紹介したり、実際に物件や施設を見に行ったりしています。当社には、ビルやホテル、商業施設などを訪れ、「なぜこの設計になったのか」「どのような経緯でつくられたのか」を学ぶ慣習があります。トレーニーがそれぞれの現場を案内し合うことで、相互の事業理解が深まっています。
日置 たとえば、ホテル部門の社員にとっては当たり前のことでも、ほかの12人にはホテル業務の経験がありません。現場を見ると、「ここはおかしくないか」「こう変えられるのではないか」と、新しい課題やアイデアが出てきます。それが実際の企画につながることもあります。
これまで異なる部門や会社で仕事をしていた13人が、部門を越えて課題を共有し、「連携すればこんなことができるのではないか」と話すようになったことは大きいですね。
——部門を越えた「新しい同期」のようなつながりが生まれているのですね。DX本部側には、どのような変化がありましたか。
日置 トレーニーとの交流が増えたことで、DX本部も、これまで拾えていなかった事業部門の課題を捉えられるようになりました。トレーニーがAIなどを学び、自らプロトタイプをつくる。そこで成果が確認できれば、DX本部が引き取り、本格的なプロジェクトとして進める。そうした循環も少しずつ生まれています。
答えのない課題へ、デジタルを武器に先陣を切って挑む人材を
——今後、制度を拡大するうえで、課題はありますか。
湯坐 制度としては、限られた1年間の中で、学びと成果の両方につなげる必要があります。プログラムの中身を毎年アップデートしながら、どのような「型」をつくるかは、引き続き模索しています。
特に実践期間のサポートは、まだ属人的なところがあります。今後はより安定的に運営できる制度にしていきたいと考えています。
日置 運営をあまりシステマティックにしすぎるのもよくありませんが、属人的な運営を続けるのもサステナブルではありません。効率化できるところは効率化し、仕組みにできる部分は仕組みにする。その一方で、1人ひとりへの伴走は残す。その見極めを、今まさに事務局で進めています。
——最後に、修了したDXビジネス人材に期待することを教えてください。
日置 今後は、リアルとデジタルの境界線がますますなくなり、答えのない案件が増えていくと思います。そうした課題に対して、デジタルを武器に、先陣を切って解決へ向かう人材になってほしいですね。
湯坐 修了後は、自分がスキルを使いこなすことはもちろん、身につけたマインドや仕事の進め方を周囲へ広げ、人を巻き込みながら変革を推進してほしい。ビジネスとデジタルという組織の両輪がうまく回り続けるよう、両者をつなぎ、その中心を支える人材になってもらいたいです。
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関口 達朗(セキグチ タツロウ)
フリーカメラマン。1985年生まれ。東京工芸大学卒業後、2009年に小学館スクウェア写真事業部入社。2011年に朝日新聞出版写真部入社。2014年から独立し、政治家やアーティストなどのポートレート、物イメージカットなどジャンルを問わず撮影。2児の父。旧姓結束。趣味アウトドア。
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山田 優子(ヤマダ ユウコ)
神奈川出身。新卒で百貨店内の旅行会社に就職。その後、大阪に拠点を移しさまざまな業界・職種を経験してきたが、プロジェクトベースの働き方に魅力を感じて2018年にフリーライターに転向。現在はビジネス系取材記事制作を軸に活動しながら、チームで商品企画・開発にも挑戦中。
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井上奈美香(HRzine編集部)(イノウエ ナミカ)
1994年宮崎県生まれ。京都女子大学文学部国文学科を2017年に卒業し、株式会社翔泳社に新卒として入社。メディア事業部の広告課に配属される。2020年8月に人事向けWebメディア「HRzine」の立ち上げに参画し、HRzineの営業責任者に従事。2023年4月よりHRzine編集部に所属。
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