筆者が所属するEYアドバイザリー・アンド・コンサルティング(以下、EYACC)は、世界に25万人のプロフェッショナルを有するEYのメンバーファームです。日本においては約1300人(2018年2月現在)の社員数を有し、各種アドバイザリー・コンサルティングサービスを企業や組織に提供しています。もちろん、そこで働くプロフェッショナルも、入社後に様々な研修(OJTも含む)を経てようやくプロフェッショナルになります。本連載では、コンサルティングファームであるEYACCでどのように人材を育成しているのかを説明していきます。今回はその前のお話として、コンサルタントが基本として身につけているスキルを紹介します。
グレイヘアアプローチとファクトアプローチ
コンサルティングファームでは、企業規模、業界を問わず、様々な企業や組織が抱える課題について、いろいろな角度からの意見・示唆が求められます。その課題の根本原因を探り、課題の解決を導くのがコンサルタントの仕事です。そのため、コンサルタントには課題を正しく理解し、その根本原因を見極め、実現可能な解決策を提案する能力が求められます。
この課題解決策を導くには、2つのアプローチがあるといわれています。
- グレイヘアアプローチ
- いくつもの課題解決の経験と幅広い業界知識に基づき、課題の解決策を提示する。このアプローチは、白髪の老紳士が行うことが多かったことから、こう呼称されている。
- ファクトアプローチ
- 業界・組織で、課題の悪さ加減について、定量化・定性化された指標や目標をもとに、さまざまな手法を使って現在のファクトである数値から状況を分析し、その指標・目標を改善するための解決策を提示する。
業務の多角化、効率化、グローバル化、M&Aなど、ビジネスのスピードが速くなる中で、企業には多くの課題が頻繁に発生しています。しかし、グレイヘア(経験と知識を有するコンサルタント)の人数には限りがあります。そのため、コンサルティングファームでは、ファクトアプローチを実践できるコンサルタントの育成が必須とされています。
ファクトアプローチに必要なスキル
ファクトアプローチでは大きく分けて2段階で課題解決を目指します。まずは、依頼された企業や組織の方々から課題を正しくヒアリングし、その背景や原因、利害関係者、他の課題との関係などを整理して、解決策を構築します。これらを効果的に実施するためには、仮説に基づいて必要な情報を収集する「インタビュースキル」や、現象を認識しモデル化する「論理的な思考力」、そして自身の考えを具体的な文章や図表にまとめる「ドキュメンテーションスキル」が必要となります。
次に、構築した解決策(ソリューション)を利害関係者に正確に伝え、プロジェクトを推進していきます。これらには、自分の考えを伝達し合意を得るコミュニケーションスキル、役割に応じたリーダーシップが必要となります。
これらのコンサルティングスキルは「コアスキル」と呼ばれます。実際のコンサルティングでは、会計・サプライチェーンといった業務知識や、各種業界の動向や特徴の業界知識、そしてテクノロジーの知識など幅広い知識も必要となります。
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香西 貴雄(コウザイ タカオ)
EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング株式会社 Technology部門 シニアマネージャー。
外資系コンサルティング会社を経て、2017年10月から現職。日本でのERP導入の黎明期から、日本企業様や海外企業様の企業変革のためのERP導入・展開を支援するコンサルティングサービスを担当。効果的なERP導入を目的に「テンプ...※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

