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採用マーケティングは社内に向けても行う
――スキルやカルチャーがフィットしない人を採用されたら現場は困るわけで、そうならないためにも、人事と現場は共同で採用活動を進めるべきでしょう。しかし、人事からは「忙しい現場のエンジニアを巻き込むのは気が引ける」という声をよく聞きます。
人事としてよくある悩みです。でも、端的に言って、採用は「仲間探し」だと捉えていただきたいですね。一緒にプロジェクトに取り組む仲間を迎えることであり、ひいては、組織の質を高めることにもつながります。その観点から言えば、現場に協力をお願いするのはごく自然なことではないでしょうか。外資系企業ではラインマネージャーが採用をリードするケースが多いですが、人事部主導で行われている企業は特に、現場とのコラボレーションを進めなくてはなりません。
また、あるSI企業の方から、エンジニアにとっての最終的なアウトプットはプロダクトではなく、それを介した「世の中へのインパクト」であるのに、会社がそこへ光を当てていないということを聞きました。エンジニアはお金よりも、自分がどう成長できるか、あるいは何が実現できるかを動機に入社を決めることが多いようですから、プロダクトそのものよりも、会社のビジョンに相当する「プロダクトで何を実現できるのか」に光を当て、社外にアピールすることに取り組んではいかがでしょうか。
これは社内の人たちのエンゲージメント向上にもつながります。そのことに組織として取り組むべきだと思います。
――それはつまり、社外だけでなく社内に向けたマーケティングも大事ということでしょうか。
採用マーケティングは、社外と社内のマーケティング両方を紐づけており、入社後のプロセスも設計するものです。
採用部門はつい採用をゴールと捉え、その先は現場にお任せせざるを得ないと考えがちです。採用できた人数や研修の回数だけをKPIにしていて、育成や活躍、退職のKPIを誰もモニタリングしていなかったりする。それでは人を使い捨てにする会社になる可能性すらあり、誰もハッピーになれません。そうならないように採用後のKPIも意識して、採用にまつわる一連のプロセスを運用できるようになってほしいと思います。