「オープン・イノベーションに関する実態調査」は、従業員規模300名以上の企業において、新規事業開発、新商品・サービス開発といった新規開発に自らの業務として携わっている、22歳~65歳の会社員334名を対象に、2018年12月に実施している。
調査対象者のうち、この10年(または10年以内の創業から調査時点まで)に、「自社の有力製品・サービスを根本から変えるような、新規事業、新技術、新商品・サービスの数」が同業他社と比較して多く生まれていると回答した人は35.9%だった。
業界水準より高い営業利益成長率を維持できている企業は、業界水準を超えるイノベーションを生み出してきたと答えた人の71.3%を占めているのに対して、業界水準と同程度以下と答えた人では24.9%、業界水準未満と答えた人では7.4%にとどまっている。
オープン・イノベーションの推進状況について尋ねた質問では、「担当する新規開発業務において、オープン化が推進されている」という回答は64.4%で、新規開発にて社外連携による成果が見られる企業は3分の2、自前主義を貫いている企業は3分の1と、多くの企業でオープン・イノベーション活動の存在が確認できた。
同研究所は、オープン・イノベーションを成功させるカギとして、社外連携の探索活動の観点では「リスクをとった探索活動」「外部に開いた組織デザイン」を挙げる。
また、意思決定や人材マネジメントなど組織プロセスの観点では、以下の4点を挙げた。
- 戦略や自社の強みが明確であるから、自社や連携先企業の意思決定のスピードを速めることができる
- 現場に権限を渡しつつ責任は押し付けない
- 自社のオーナーシップと社内外の対等で自律した関係性により、成功するまでやりぬくことができる
- 「協働や助け合い」「自由裁量」「競争」の風土
そのほか、担当者が強化すべき行動や能力としては、「発想力」「論理的に思考・説明する能力」「巻き込み力」を挙げている。