同調査を実施した理由として、帝国データバンクは、「2018年度の有効求人倍率は45年ぶりの高水準となるなど、労働需給はますますひっ迫し、企業間の人材獲得競争は激しさを増している。求職者にとっては就業機会の拡大や賃金の上昇など明るい材料でもあるが、人手不足による人件費の上昇は企業の収益環境に大きく影響。人材の確保や生産性の向上など、人手不足の解消に向けた取り組みは企業の喫緊の課題となっている」ことを挙げている。
同調査で明らかになった点について、同社は以下のようにまとめている。
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従業員が「不足」している企業が半数超にのぼる中、不足している部門・役割は、「生産現場に携わる従業員」(57.2%)が最も高く、「営業部門の従業員」(47.7%)や「高度な技術を持つ従業員」(37.0%)も高い。
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人手不足による影響は、「需要増加への対応が困難」が50.5%で半数を超えトップとなり、五輪関連などによる旺盛な需要が続く『建設』や、荷動きが活発な『運輸・倉庫』などで高水準となった。次いで、「時間外労働の増加」(36.6%)、「新事業・新分野への展開が困難」(31.7%)などが続いた。
- 企業において多様な人材を活用することが注目されているなか、今後最も積極的に活用したい人材は「シニア」が29.2%で最も高く、「女性」も27.9%と近い水準で続き、「外国人」は13.7%、「障害者」は1.1%となった。
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人手不足の解消に向けての取り組みでは、「賃金水準の引き上げ」が38.1%でトップとなった。特に「中小企業」で数値が高く、人材の確保や定着に向けた方法として賃上げが重要視されている様子がうかがえる。次いで、「職場内コミュニケーションの活性化」(36.7%)、「残業などの時間外労働の削減」(35.0%)が続いた。
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企業が望む人手不足の解消に向けて社会全体が取り組むべきことは、ハローワークなどの「職業紹介機能の強化・充実」が32.6%でトップとなった。他方、「職種別採用の拡大」は9.9%、「オファー型採用の拡大」は4.8%となり、採用方法の多様化は1ケタ台にとどまった。