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インタビュー | ピープルアナリティクス

「人材の評価にディープラーニングは使わない」、ヤフーが説くピープルアナリティクスで留意すべきポイント

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 少子高齢化に伴う労働人口の減少や、新たなICT技術の登場を背景に、HR Tech(Human Resources Technology)が注目されている。米国で誕生したHR Techだが、近年は日本でも業務効率化や戦略的な人事管理を実現するものとして急速に普及している。HR Techでカギとなるのが、データの分析活用だ。どのデータを、どの手法で分析し、どのような結果を得て次のアクションにつなげるか――。人材育成や人材配置、人事評価などの人事関連業務で悩む企業にとってHR Techの活用は、ビジネスの成功を左右するプロジェクトだと言っても過言ではない。(取材:2019年10月)

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とっ散らかったデータのクレンジングに半年間

 10月20日(現地時間)から5日間の日程で開催された米テラデータのユーザー向けコンファレンス「Teradata Universe 2019」(開催地:米国コロラド州デンバー)では、HR Techの活用事例紹介セッションに、ヤフー株式会社 ピープル・デベロップメント統括本部 コーポレートPD本部 部長(2019年10月現在)の遠藤禎士氏が登壇。「Workforce Analytics accelerating business strategy(ビジネス戦略を加速させるピープルアナリティクス)」と題し、ヤフーが取り組むピープルアナリティクスを説明した。

「Teradata Universe 2019」の会場となった米国コロラド州デンバーの「Denver Convention Center」
「Teradata Universe 2019」の会場となった米国コロラド州デンバーの「Denver Convention Center」

 1996年設立のヤフーは6515人の従業員を抱える(2019年3月31日)大手IT企業だ。社員の平均年齢は35.6歳(同)で、平均勤続年数は6.3年(有価証券報告書による)。副業の解禁やフリーアドレス制、月5日まで社員が好きな場所で働ける「どこでもオフィス」の導入など、先進的な人事制度を積極的に取り入れている。

 ヤフーがHR Techに注力する主な目的は、「人事管理業務の改善と効率化」「適材適所の人材配置」「人材育成」である。そのために実施しているのが「ピープルアナリティクス」だ。ピープルアナリティクスとは、人事データ分析から得られた知見を活用し、課題解決に至るプロセスを指す。具体的には「ビジネスニーズと戦略の理解」「課題の洗い出し」「利用可能なデータの選択」「分析用データの準備」「データ分析とその可視化」「分析結果に基づく行動」「継続的な監視と測定」といったプロセスだ。

ピープルアナリティクスのプロセス(出典:米テラデータ)
ピープルアナリティクスのプロセス(出典:米テラデータ)
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 ピープルアナリティクスを実施するためには、“きちんとしたデータ”を揃える必要がある。遠藤氏がピープル・デベロップメント統括本部の部長として最初に行ったのは「バラバラなデータを整理する」ことだったという。

 「データの“バラバラ度”はひどいものでした(笑)。採用データは約5~6年分が蓄積されていたのですが、データの定義が短期間で変更されていたり、データの一部が欠損していたり、データの種類がバラバラだったりと、エンジニアの私が見ても、それが何を意味するデータなのかを理解できない。最初の仕事は『これは何のデータか』を紐解くことでした」(遠藤氏)

ヤフー ピープル・デベロップメント統括本部 コーポレートPD本部 部長(2019年10月現在)の遠藤禎士氏。遠藤氏が同ポジションの就いたのは2018年の4月で、それまではIT部門でデータサイエンス部隊を牽引し、データドリブンな意志決定の仕組み作りに注力してきた。
ヤフー ピープル・デベロップメント統括本部 コーポレートPD本部 部長(2019年10月現在)の遠藤禎士氏。遠藤氏が同ポジションの就いたのは2018年の4月で、それまではIT部門でデータサイエンス部隊を牽引し、データドリブンな意志決定の仕組み作りに注力してきた。

 遠藤氏は半年かけて、10を超える人事関連システムから従業員の評価、勤怠、目標管理などのデータに対してデータクレンジングを実施し、「Teradata Database」に集約。Teradataの一領域を使ってデータマートとして使えるようにした。また実験的ではあるが一部位置情報なども分析を試みている。

 これらのデータを分析して可視化することで現状を把握し、課題を洗い出して改善のアクションにつなげていく。その際に心がけたことは、「プライバシー保護の徹底」と「分析システムとオペレーションシステムの分離」だ。特に、分析に使うデータは、人事関連システムから分離して利用することを徹底した。その理由について遠藤氏は次のように語る。

 よく、混ぜるな危険と言っていますが、分析用システムとオペレーションシステムは分けるようにしています。そもそも、分析要件とオペレーション要件は異なります。たとえば、ディープラーニングによる分析でシステムに負荷がかかり、オペレーションが停止すれば、ヤフー全体の業務に支障をきたす。そうした事態は避けなければいけません」(遠藤氏)

ヤフーの人材分析アプローチと改善の取り組み概念図(出典:ヤフー)
ヤフーの人材分析アプローチと改善の取り組み概念図(出典:ヤフー)
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この記事の著者

鈴木 恭子(スズキ キョウコ)

ITジャーナリスト。週刊誌記者などを経て、2001年IDGジャパンに入社しWindows Server World、Computerworldを担当。2013年6月にITジャーナリストとして独立した。主な専門分野はIoTとセキュリティ。当面の目標はOWSイベントで泳ぐこと。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://hrzine.jp/article/detail/1913 2019/12/02 06:00

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