エンワールド・ジャパン 代表取締役社長のヴィジェイ・ディオール氏は、2019年の採用市場は全体的に非常に好調だった一方、多くのビジネスリーダーは経済の減速を予想しており、自動車など一部の分野ではすでにこの状況に直面。その結果、企業は人材の採用に関してより保守的になり、採用に影響する投資を遅らせていると分析。今年は増税が短期的に市場に変化をもたらしたが、今後も様々な外部要因が、候補者の雇用形態、働き方改革の取り組み、政府主導の雇用契約法の変更など、労働環境の変化に影響を与えるだろうとした。
また、日本においては人材不足が続き、採用はより困難で競争的になる一方、候補者にはキャリアの中でより多く仕事を変える、高い柔軟性を持ち続けられるといった恩恵がもたらされるという。とりわけ、高い専門スキルを持つ候補者には継続的に高い需要があるため、報酬やその他の雇用条件の交渉において選択肢や交渉権が向上する。定年退職の年齢引き上げなど、日本の労働市場には変化が起こり始めているが、今後直面する重要な課題は、ダイバーシティー(性別や国籍など)の推進だろうとした。
IT・通信業界については、同社 人材紹介事業部 部長(ヴァイスプレジデント) 狐崎壮史氏が「ソフトウェア、クラウド系企業は2020年も好調。早めの情報収集が採用成功のカギ。フィンテックおよびペイメント系企業、ヘルステックといわれるライフサイエンス系領域のソフトウェア企業、SaaSに代表されるようなクラウド系企業などは、2020年も引き続き堅調に採用や設備/人材投資を進めていく」と予測。加えて、セキュリティ、データサイエンティスト、AIやディープラーニング(深層学習)、DXなどの職種は、さらに海外からの人材の流入が進むとした。
さらに、2019年には大きなM&Aが実施されており、その統廃合の結果から来年以降市場に出てくる一定数の候補者がいると考えられるため、早期に転職市場調査や情報収集を始めておくことが重要になると指摘。ただし、DXやセキュリティの市場成熟はまだ先であり、今後もさらに変革していくものと思われると述べている。