SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

HRzine Day(エイチアールジン・デイ)は、人が活き会社が成長する人事のWebマガジン「HRzine」が主催するイベントです。毎回、人事の重要課題を1つテーマに設定し、識者やエキスパードが持つ知見・経験を、参加者のみなさんと共有しています。

直近開催のイベントはこちら!

HRzine×SmartHR 人材・組織活性化フォーラム

2024年12月6日(金)13:00~15:30

主要製品スペック一覧

人事業務の効率・確度・精度を高めるために欠かせないHRテクノロジー。その主な製品の機能を分野ごとに比較できる資料群です。製品検討の参考資料としてご活用ください。

eラーニング・LMS<br>主要製品スペック一覧 2024

eラーニング・LMS
主要製品スペック一覧 2024

その他のスペック一覧

人事労務管理システム<br>主要製品スペック一覧 2023

人事労務管理システム
主要製品スペック一覧 2023

タレントマネジメントシステム<br>主要製品スペック一覧 2023

タレントマネジメントシステム
主要製品スペック一覧 2023

シスコCCENT合格をゼロから目指す人のためのネットワーク超入門 | 第9回

ルーティングの動作とルーティングテーブル ~ IPパケットの転送は電車の乗り換えのように


  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
  • hatena

ルーティングテーブルの中身をのぞく

ルーティングテーブルとは、ルータが認識しているネットワークの情報をまとめているデータベースです。「あのネットワークへIPパケットを転送するための経路はこれ」といった情報が登録されています。ルーティングテーブルに登録されているネットワークの情報をルート情報経路情報と呼びます。

ルート情報に記載されている内容

ルーティングテーブル上のルート情報に記載されている内容は、ルータ製品によって若干異なります。シスコシステムズ製ルータ(以下、Ciscoルータ)のルーティングテーブルは、図7のような内容になっています。なお、図7のルーティングテーブルは、今回の前半でルーティングの動作を確認したルータの1つ、ルータR1のものをイメージしています。

図7:Ciscoルータのルーティングテーブル(ルータR1のものをイメージ)
図7:Ciscoルータのルーティングテーブル(ルータR1のものをイメージ)

このうち、「Gateway of 〜」より下にある行がルート情報を表しています。意味は以下のとおりです。

① ルート情報の情報源
ルータがどのようにして、そのルート情報をルーティングテーブルに登録したのかを示しています。ルート情報の情報源には、大きく分けて次の3種類あります。
  • 直接接続
  • スタティックルート[5]
  • ルーティングプロトコル[6]
② ネットワークアドレス/サブネットマスク
ルーティングする先のネットワークです。IPパケットの宛先IPアドレスをキーにして、ルート情報のネットワークアドレス/サブネットマスクを検索します。
③ メトリック
ルータから目的のネットワークまでの距離を数値化したものです。距離といっても物理的な距離ではなく、ネットワーク的な距離です。
メトリックの情報は、ルーティングプロトコルによって学習したルート情報の中にあります。ルーティングプロトコルによって、メトリックの算出に使う情報や計算方法は異なりますが、最終的には1つの数値になります。距離は短いほうがより良いルートで、メトリック最小のルートが最適ルートです。
④ アドミニストレーティブディスタンス(Ciscoルータ)
メトリックは目的のネットワークまでの距離を表しますが、何を考慮して距離を計算したかはルーティングプロトコルごとに異なります。アドミニストレーティブディスタンスは、ルーティングプロトコルごとに異なるメトリックを比較できるように調節するためのパラメータです。つまり、アドミニストレーティブディスタンスとメトリックによって、ルータは目的のネットワークまでの距離を認識します。
⑤ ネクストホップアドレス
目的のネットワークへIPパケットを送り届けるために、次に転送すべきルータのIPアドレスです。「ホップ」とはルータを指します。ネクストホップアドレスは、原則としてルータと同じネットワーク内の他のルータのIPアドレスです。
⑥ 経過時間
ルーティングプロトコルで学習したルート情報について、ルーティングテーブルに登録されてから経過した時間が載せられます。経過時間が長ければ長いほど、安定したルート情報です。
⑦ 出力インタフェース
目的のネットワークへIPパケットを転送するときに、どのインタフェースから出力するかという情報です。ネクストホップアドレスと出力インタフェースを合わせて「目的のネットワークへの方向」と考えることができます。

[5]: スタティックルートは、管理者がコマンド入力などによって手動でルーティングテーブルに登録されたルート情報です。

[6]: ルーティングプロトコルは、自動的にルート情報をルーティングテーブルに登録するためのプロトコルです。ルータ同士が同じルーティングプロトコルを利用して、ルータ同士がさまざまな情報を交換することで、自動的にルート情報をルーティングテーブルに登録します。

ルータが認識しているネットワーク構成

ルーティングテーブルは「ルータが認識しているネットワーク構成」ともいえます。ルータがどんなふうにネットワーク構成を認識しているかを、ルータR1のルーティングテーブルから読み取ってみましょう。

図8:ルータR1のルーティングテーブルに記載されているルート情報
図8:ルータR1のルーティングテーブルに記載されているルート情報

ルーティングテーブルの中で最も基本的なルート情報は、ルータに直接接続されているネットワークのルート情報です。Ciscoルータでは、先頭にCと表示されているのが、直接接続(directly connected)されているネットワークのルート情報です。ルータR1のルーティングテーブルからは、ルータR1が次の2つのネットワークに直接接続されていることが読み取れます[7]

C       10.1.2.0 is directly connected, Serial0/1
C       10.1.1.0 is directly connected, FastEthernet0/0
図9:直接接続のルート情報(ルータR1)
図9:直接接続のルート情報(ルータR1)

先頭にSと表示されているルート情報が3つあります。これらは、スタティックルートの設定によってルーティングテーブルに登録されたルート情報です。

S    172.17.0.0/16 [1/0] via 10.1.2.2
S    172.16.0.0/16 [1/0] via 10.1.2.2
S    192.168.1.0/24 [1/0] via 10.1.2.2

3つに共通するvia 10.1.2.2という記載は、「ネクストホップ(10.1.2.2)を介した先の(via)」という意味です。これら3つのルート情報からは、ルータR1が「10.1.2.0/24のネットワーク上には、10.1.2.2というIPアドレスのルータが存在していて、そのルータの向こう側に3つのネットワークがある」と認識していることが読み取れます。

図10:スタティックルートのルート情報(ルータR1)
図10:スタティックルートのルート情報(ルータR1)

なお、ルータR1が認識しているのは、3つのネットワークが10.1.2.2のIPアドレスを持つルータの向う側にあるということだけです。実際には、10.1.2.2のルータに直接接続されているのではなく、さらに他のルータを経由しなければいけないかもしれません。

そしてもう1つ、先頭がRと表示されているルート情報があります。これはRIPというルーティングプロトコルによってルーティングテーブルに登録されたルート情報です。

R        10.1.3.0 [120/1] via 10.1.2.2, 00:00:10, Serial0/1
図11:ルーティングプロトコルRIPにより登録されたルート情報(ルータR1)
図11:ルーティングプロトコルRIPにより登録されたルート情報(ルータR1)

このルート情報が表しているのは、「ネクストホップ(隣のルータ)は10.1.2.2で、このルータの先に10.1.3.0/24のネットワークがある」ということです。また、[120/1]は「距離」を表しています[8]。RIPのようなルーティングプロトコルで登録されたルート情報には、距離も載せられています。この記載から「ルーティングテーブルを持つルータR1から[120/1]だけ離れたところに10.1.3.0/24のネットワークがある」ことが分かります。RIPの場合、経由するルータ台数を距離とみなします。つまり、「10.1.2.2のルータはネットワーク10.1.3.0/24に直接接続している」ことが分かります。

以上のように、ルーティングテーブルによって、そのルータがどのようなネットワーク構成であるかを認識しています。ただし、ネットワーク全体の詳細な構成ではなく、自身を中心としてネクストホップ(隣のルータ)の向こう側にどんなネットワークが存在するかというレベルです。IPによるエンドツーエンドの通信は、同じネットワーク上の転送を繰り返していくわけなので、隣のルータまで転送できればよいのです。隣のルータの先にあるネットワーク構成の詳細まで知る必要はありません。

なお、ルーティングテーブルに記載のない(つまり認識できない)ネットワーク宛てのIPパケットを受信したルータは、それらをすべて破棄します。そのため、ルータがきちんとルーティングを行うようにするためには、ルーティングテーブルに必要なルート情報をすべてもれなく登録しておかなければいけません。これは1台のルータだけではなく、ネットワーク上のすべてのルータについてです。そして、ネットワーク上のすべてのルータのルーティングテーブルに必要なルート情報が登録されている状態を指してコンバージェンス(収束)と呼びます。

[7]: FastEthernet0/0Serial0/1は、ルータのインタフェースを表しています。また、10.0.0.0/24 is subnetted, 3 subnetsという部分は、「10.0.0.0というネットワークアドレスは、/24のサブネットマスクにより、3つのサブネットに分割されている」という意味です。つまり、サブネットマスクは/24です。

[8]: スタティックルートのルート情報には[1/0]という距離の情報がありますが、スタティックルートの場合、基本的に距離に意味はありません。

次のページ
確認問題

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
  • hatena
シスコCCENT合格をゼロから目指す人のためのネットワーク超入門連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

Gene(ジーン)

2000年よりメールマガジン、Webサイト「ネットワークのおべんきょしませんか?」を開設。「ネットワーク技術をわかりやすく解説する」ことを目標に日々更新を続ける。2003年にCCIE Routing and Switchingを取得。2003年8月に独立し、ネットワーク技術に関するフリーのインストラ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事をシェア

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
  • hatena
HRzine
https://hrzine.jp/article/detail/217 2016/10/28 17:07

Special Contents

AD

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

HRzine Day(エイチアールジン・デイ)は、人が活き会社が成長する人事のWebマガジン「HRzine」が主催するイベントです。毎回、人事の重要課題を1つテーマに設定し、識者やエキスパードが持つ知見・経験を、参加者のみなさんと共有しています。

2024年12月6日(金)13:00~15:30

イベントカレンダーを見る

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング