カオナビの研究機関「カオナビHRテクノロジー総研」は、リモートワークについての実態調査を実施している。今回は、「リモートワーカーの不安」に焦点を当て、リモートワークの現状を報告した。20代~60代で従業員数10名以上の組織に勤めており、勤務時間の半分以上もしくは基本的に毎日リモートワークで働いている人300名から回答を得ている。調査期間は8月21日~8月24日。
アンケートでは、約半数は労働時間に変化なしと答え、増加が20.0%、減少は27.0%だった。リモートワークでは「仕事終わりが曖昧になりがち」「休憩を取らずに働いてしまう」など、「労働時間が増加する」といった懸念があるが、今回の調査で5人に1人は労働時間が増えていることが分かる。
「リモートワークをしている中で、不安に感じることを教えてください(複数回答可)」という質問に対しては、新型コロナウイルスへの感染以外に何かしらの不安があると回答した割合は77.3%となった。
リモートワークにおける不安のトップは「仕事や成果、提供価値の質や生産性」が低下すること。リモートワーク環境となり、個人として、また組織全体として、アウトプットが悪くなっているのではないかと一定数の人が不安を感じていることが分かった。
上司と部下で差が大きい順に上位3つはどの項目も、上司の方が部下よりも不安に感じており、マネジメント側の責任感を表す結果と言える。
部下側の不安のトップについては、「自分がさぼっていると、周りに思われているのではないか」という項目になり、部下側の回答者の約4人に1人が不安を感じている。また、上司側の21.0%は「周りがさぼっているのではないか」という不安を感じており、部下側の「さぼっていると思われる」という不安は、実際に上司から「さぼっているのでは」という目線を受けているために、生じているのかもしれない。
今回の調査結果について、カオナビHRテクノロジー総研 研究員の齊藤直子氏は、上司と部下の間にある認識のギャップに触れ、マイナスに聞こえてしまうかもしれないが、ギャップのある項目や部下側の不安を見てみると、上司と部下の不安は表裏一体であることが分かると指摘。「さぼり」に関しては「周りがどうなのか」と「周りから自分がどう思われているか」に、上司と部下の立場の違いによって表出の仕方が分かれているが、根本的には「さぼることは悪いことだ」という共通の価値観を持っているということ。「業績をよくしたい」「よい仕事をするための障壁をなくしたい」といった共通の思いを、上司も部下も持っているのではないだろううかを考察している。