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HRzine Day 2021 Winter セッションレポート | #4(AD)

エンゲージメント向上に効く! インターナルモビリティとリファラル採用による社内外の最適配置

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 「インターナルモビリティ」とは、社員の希望による人事異動制度のこと。従業員エンゲージメントを高め、一人ひとりの生産性を向上させるのに有効だという。また、社員が有望だと判断した友人・知人を会社に推薦する「リファラル採用」にも同様の効果があるとする。コロナ禍を受けて始まったリモートワークで組織、生産性が各企業の課題となっている中、どちらも取り組みたい施策といえよう。本稿ではそのために知っておきたい事柄を、株式会社MyRefer 代表取締役社長 CEO/Founder 鈴木貴史氏が解説する。

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鈴木 貴史

鈴木 貴史(すずき たかふみ)氏
株式会社MyRefer 代表取締役社長 CEO/Founder
新卒にてインテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社の後、2014年に1億円の社内資金調達の元、リファラル採用の概念を提唱しMyReferを創業。2015年、グループ歴代最年少にてコーポレートベンチャーを立ち上げ、転職サイトや人材紹介に変わる新たなHRTechサービス『MyRefer』をリリース。2018年、更なる事業拡大を目指し、U-NEXT宇野氏などの支援を受け総額3.6億円の第三者割当増資を実施し、サイバーエージェント以来となるインテリジェンスからのMBOスピンアウトを実現。株式会社MyReferの代表取締役社長 CEOに就任。

本記事は、2021年2月25日に開催されたイベント「HRzine Day 2021 Winter」でのセッション「新時代の人と組織の在り方を再定義するHR戦略 ~社内外の最適配置を加速するリファラル採用とインターナルモビリティ~」をレポートするものです。

コロナ禍で企業は一人ひとりの生産性を高めていくしかない

 HRのトレンドはコロナ禍をきっかけに変わってきている。例えば、従業員満足度から従業員エンゲージメント(以下、エンゲージメント)へ、社員の離職率から生産性へ、そして採用は人数から質へという具合だ。とりわけ、生産性向上は必須となっている。コロナ禍で採用人数がシュリンクしているが、業績を下げるわけにはいかないから、1人当たりの生産性を高めていくしかない。

 しかし、テレワークが増えた影響は大きい。出社が減り、オフィス内の社員コミュニケーションが減ったことは、エンゲージメントを低下させる要因となっている。また、外出自粛でリフレッシュ機会が減り、家族内での摩擦が増えていることが生産性低下を招いている。組織と個人の関係がよりドライになる中、生産性向上が求められるという厳しい状況なのだ。しかも、どの企業でも生産性が高い社員はそう多くない。米Gallup社の調査によると、生産性が高い社員は全体の33%だという。

 厳しい状況ではあるが、企業として生産性を向上させるためには、まず既存社員の生産性を高める必要がある(内部施策)。それと同時に、人数はシュリンクする中でも、外部から高い生産性を持つ人材を採用していくアプローチが求められる(外部施策)。

 ここでMyRefer 鈴木貴史氏が内部施策として挙げたのは「社内公募」や「社内FA制度」だ。一方、外部施策として挙げたのは「リファラル採用」である。いずれも社員が自発的に社内転職活動や採用活動に参加するもので、エンゲージメント向上に寄与するという。組織や業績への当事者意識が高まり、人材の最適配置によって従業員に成長機会を与えるからだろう。また、従業員の間でエンゲージメントが高まっていけば、生産性の高い既存社員が辞めたりせず、生産性の高い人材を従業員の協力を得て採用できるようになり、企業全体として生産性が高まる。

 なお、社内公募や社内FAのように会社からの指示ではなく、社員の希望を実現する人事異動制度を「インターナルモビリティ」という。

企業生産性を高める外部施策と内部施策
企業生産性を高める外部施策と内部施策
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インターナルモビリティで離職防止や生産性向上を

 インターナルモビリティでは社内公募や社内FAにより、既存社員の最適配置を行う。人材が流動できるしくみがあると、生産性向上やエンゲージメントの向上にも寄与する。アメリカでは2014年時点の調査で、全採用チャネルの30%をインターナルモビリティが占めるとされている。

インターナルモビリティの全体像
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 インターナルモビリティの実施は、社員からすると成長機会が与えられるため、社員の離職防止やエンゲージメント向上につながる。また、社内から人材調達できるため、採用施策コストを削減できる。次世代リーダーの創出や、流動性で社員間の交流や部署間の連携が円滑になることも期待できる。

 自主的な社内異動で満足度が向上することは調査結果からも明らかだ。仕事の満足度が高い社員は理由に「仕事の面白さ」や「人間関係の良さ」を挙げており、逆に仕事に不満を抱える社員は理由に「成長しづらい環境」ほか、人間関係や仕事などを挙げている。

 多くの企業の実状を想像してみてほしい。インターナルモビリティがない企業では生産性が低い社員が残留し、生産性が高い社員が流出してしまう。ここにインターナルモビリティがあれば、生産性の低い社員は最適配置で生産性を高められるし、生産性が高い社員は成長の機会を得られてさらなる生産性の向上と離職の防止を期待できる。

 ただし、インターナルモビリティを進めようとすると、いくつかの課題に直面することになると鈴木氏。社員からすると、募集中のポジションを目にする機会がない、自分の活躍できる環境・部署が分からない、などが課題となる。一方、人事からすると、社内異動のための仕組みがない、適材の特定や異動プロセスが欠如しているなどが課題になる。また社員と人事両方において、社内異動することで組織内での何らかの摩擦が起きることも懸念とされている。

 意外かもしれないが、インターナルモビリティとリファラル採用は相乗効果がある。全社は社内異動で、後者は社外からの採用なので異なるものと思われがちだが、どちらも友人に自社や仕事について語ることを通じて、自分の仕事やキャリアを内省する機会となるため関連性があるのだ。

 鈴木氏は「リファラル採用に取り組むことがインターナルモビリティへの近道となります」と話す。インターナルモビリティをゼロから取り組むと制度設計や周知浸透などで頓挫するリスクが生じるが、リファラル採用が仕組み化されているとそのリスクが減る。社員が自社のJD(ジョブディスクリプション)を認知し、理解しているため、インターナルモビリティに応用できる。つまり友人を紹介するフローを自分が応募するフローに置き換えればよいのだ。

リファラル採用に取り組むことがインターナルモビリティへの近道
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リファラル採用は長期的なHR戦略

 リファラル採用に話題を移そう。社内外の信頼できる人脈やつながりを通じた採用となる。リファラル採用を実施する企業は着実に増えている。2015年にリファラル採用制度があり実施しているのはわずか10%だったが、2020年には63%にまで増えている。リファラル採用のメリットも顕著に出てきている。

 例えば、社員1000人を抱えるある企業では、リファラル採用で採用コストを約6300万円削減し、離職率は3分の1に、エンゲージメントや生産性は倍増した。海外のGAFAを中心とした企業や日本の急成長企業ではリファラル採用が4~5割に上るほど浸透している。

 一方で、リファラル採用の導入に失敗する場合もある。主な原因は3つ。「自社がリファラル採用を踏む意義が整理できない」「成功するイメージを合理的に説明できない」「インセンティブ設計でリーガルチェックが通らない」である。鈴木氏はこれらについて丁寧に解説を行った。

自社がリファラル採用を踏む意義が整理できない

 改めて、リファラル採用後の影響について整理してみよう。採用コスト、離職率は下がり、決定率は上がり、人材紹介に比べれば選考プロセスは少なくなるものの、人事工数は多い。鈴木氏は「リファラル採用だと採用効率が極めて高いものの、仕組化するまでに工数がかかります。そのため短期ではなく長期の採用戦略と考えるべきでしょう。認知やカルチャー作りが大事です」と説明する。

 イメージとしては、最初の1~2か月は人事側の負荷があるものの、リファラル採用が軌道に乗ってくれば人事の負荷は下がり決定数は着実に上がっていく。鈴木氏は「今始めたとしたら、4年後には採用費用や離職率で大きな差が生まれます」と長期的な視点で見る重要性を強調した。

成功するイメージを合理的に説明できない

 リファラル採用に対して懐疑的な人事担当者だと「うちの社風にリファラルは向いていない」「リファラルよりもエンゲージメントを高めるほうが先だ」と懸念することもある。こうした懸念について鈴木氏は「リファラルが起きるシーンを想像してみてください」と呼びかける。リファラルが起きるシーンはヘッドハント型と相談型の2つ。前者は社員から積極的に友人・知人に声をかける形、後者はプライベートな場などで、キャリアの相談などを受けそのタイミングで自社を勧める形だ。それぞれに合わせて適切なアプローチをすれば成功につながるという。

リファラルが起きるシーン
リファラルが起きるシーン
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 繰り返しになるが、インターナルモビリティやリファラル採用といった仕組みとエンゲージメント向上は動き出すと相乗効果が生まれてくる。鈴木氏はポイントとして「組織を自分ごと化する」と挙げる。社員が当事者意識を持つと、会社を自分ごととして見られるようになり、ヒト・モノ・カネに関するミッションに関わるようになり、自分たちで仲間集めをするようになってくる。

 エンゲージメント向上とリファラル採用のどちらが先かと考えるなら、鈴木氏はリファラル採用が先だという。リファラル採用の構成比が高い企業は、リファラル採用に着手してからエンゲージメント向上施策に取り組んでいる。

エンゲージメント向上施策が先か、リファラル採用が先か
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インセンティブ設計でリーガルチェックが通らない

 リーガルチェックを懸念する場合、主に紹介のインセンティブが職安法40条に抵触すると考えているのではないだろうか。これは制度を適切に整備しておけば問題ないだろう。基本的に、リファラル採用のインセンティブを賃金(募集業務の対価)として支払うように就業規則などで制度化しているのであれば、職安法に抵触しない。また、鈴木氏は「制度として対価が高額にならない設計と、紹介者は募集行為のみを行い、紹介後のプロセスに関わらせない設計が必要です」と説明する。ここは制度設計をする時に専門家と相談して進めていけばよいだろう。

 インセンティブをどう考えるか、どのくらいの金額が妥当かは悩むところだろう。リファラル採用制度を運営している企業の85%は報酬(インセンティブ)制度を設計している。半数弱が9万円以下だ。鈴木氏は「リファラルのほとんどは友人の力になりたいという相談型で発生しています。社員が自社の求人が転職を考える友人の力になれると知り、プライベートで気軽に紹介できる状況を作り出すことが大事です」と説明する。

リファラル採用のインセンティブは9万円以下が半数弱
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制度があっても不便なら社員は動かない

 リファラル採用を制度化しても実際に活用できていない企業はまだ多い。その背景には紹介フローが不透明、社員に負荷が高い、空きポストや採用要件などの情報が行き渡らないなどの問題がある。実務がうまく回っていないのだ。そんなときの強い味方になるツールが「MyRefer」だ。リファラル採用に必要な機能をSaaSで提供している。

 人事担当者と社員はMyReferを通じて現在募集中の求人や紹介制度について共有できる。もし社員の身近に転職を考えている友人や知人がいたら、社員はMyReferを通じて人事担当者に簡単に紹介できる。アプリから簡単な操作で紹介できるため、社員がプライベートで友人と会話しているときに転職が話題になれば、MyReferアプリから「お誘い」すればよい。普段のSNSのやりとりのように簡単にできる。

MyReferとは
MyReferとは
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 鈴木氏は「企業と社員、社員と友人、つながりで日本のはたらくをアップデートしていきます」とMyReferのビジョンを語った。これから企業における仲間集めは楽しく、スマートになっていきそうだ。

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https://hrzine.jp/article/detail/3006 2021/12/09 08:39

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