パーソルキャリアは、同社が運営する転職サービス「doda」において、日本経済新聞と共同で「働く人と企業の動向調査 2021」を実施し、その結果を「評価・スキルアップ、雇用の形 編」(速報・単純集計)として発表した。同調査では、人生100年時代が到来し、個人が専門性を磨くことや、企業のジョブ型雇用への移行が注目され始める中、個人側のスキルアップに対する意識、企業側の社員育成制度や雇用の形に関する動向について調べた。個人向け調査期間は2021年3月12日~3月17日で対象数は1万6107名、企業向け調査期間は2021年3月10日~3月30日で対象数は383社。
同社は調査結果について、以下のように述べている。
1. 個人向け調査
【報酬と評価】
報酬と評価について、現在の年収が能力や相場と比較して、40.5%の個人が「低いと思う」と回答し、人事評価制度に対しても50.6%が「不満」と感じていることが分かった。不満理由の1位は「評価基準が透明・明確でない」(48.5%)、2位「スキルが評価されない」(35.6%)だった。
【採用で通用する技能やスキル】
採用において、社外でも通用する技能やスキルが今まで以上に重視されることについては、57.9%の個人が「歓迎」としており、「歓迎しない」とする個人を上回る結果になった。
【ジョブ型雇用】
「ジョブ型雇用」のイメージについて、上位4つの中で、ポジティブなイメージは、2位「革新的である」(25.2%)と4位「将来性がある」(20.8%)、ネガティブなイメージは、1位「シビアな」(25.5%)、3位「格差が大きい」(20.9%)という結果になった。今後、「ジョブ型雇用」の広がりなどで人材の流動性が上がることついては、65.0%の個人が「良いこと」と捉えている。企業の雇用制度が、ジョブ型などの職務が明確な雇用制度に移行することによって、転職のしやすさにどのように影響するかについては、21.5%が「転職しやすくなると思う」と回答した。
2. 企業向け調査
【社員の能力・スキル】
業務を遂行する上で、社員の能力・スキルは十分だと思うかについては、回答した企業の多くの部門で50%以上が「十分」と回答した一方、情報システム部門については51.4%の企業が「不十分」と回答した。昨今の高い専門性が求められるIT・デジタル人材の不足を反映する結果となった。
【ジョブ型雇用】
「ジョブ型雇用」の制度導入については、回答した企業のうち、32.6%の企業が「導入の予定はない」としており、「導入済み、準備・検討中」(21.2%)を大きく上回った。導入理由については、50.0%の企業が「即戦力を確保できる」ことを挙げている。
3. 個人向け・企業向け調査から
【技能向上のために個人が企業に期待すること】
現在の職務に求められる技能を高めるために、個人が企業に期待することについては、1位「人事評価制度との連動」(30.3%)、2位「資格取得の補助」(29.6%)、4位「社内の教育プログラムの拡充」(26.0%)となった。
【技能向上のために企業が行っていること】
一方、企業側が設けている制度は、1位「資格取得の補助制度」(78.6%)、2位「評価のフィードバック」(70.0%)となった。今後設ける予定の制度については、1位「キャリアカウンセリングの実施」(36.6%)、2位「副業の許可」(32.6%)、5位「社内の教育プログラムの拡充」(18.8%)だった。
同調査から、多くの個人が社内でのフェアな評価や技能向上への直接的な支援を求めているのに対して、企業側は資格取得の補助や、評価に反映させるための整備を進めていることが分かった。また、今後はキャリアカウンセリングによる社員のキャリア自律支援や、副業などの制度を拡充させる傾向も、調査結果から見て取れた。
なお、働く人と企業の動向調査2021では『働く場所の今後 編』(速報版)も同時に発表されている。