SmartHRで踏み出す人的資本開示の第一歩
次に、佐野氏は人的資本開示を行う手順や人事データ整備について話を進めた。
「まずはできるところから始めて、徐々にブラッシュアップしていくことが重要だ」と語る佐野氏は、「最初から完成度の高い人的資本情報の開示を行うことは非常に困難であるため、完璧を追い求めて取り組みが遅れてしまうことは絶対に避けたい」と警鐘を鳴らす。
この進め方は国でも推奨されているものであり、人的資本可視化指針の中でも次図でも示されている。
最初に取り組むべきは①の「自社の人的資本、人材戦略を整理してみる」ことだ。これを分かりやすく分解すると、次の4つのステップに分かれるという。
- 現状の人的資本を把握する
- 人的資本の目標を決める
- ギャップを定量的に把握する
- 目標に到達する戦略を立てる
「これら4つのステップのうち、2と4は企業によってやり方はさまざまだと思います。なぜなら、それらは経営戦略や事業戦略と密接に紐づくからです。他方、1と3はどの企業でもやり方はある程度決まってきます。従業員に関するデータを定量的に把握して、いつでもすぐに正しい情報が見られる状態にしておくことが大切です」(佐野氏)
人事データの整備が重要であると分かっていても、実践するのは容易なことではない。業務や部署ごとにデータがバラバラでどこに何があるのか分からなかったり、記載方法がぐちゃぐちゃで整理に時間がかかったり、データの取り方や取得タイミングがまちまちで連続して使える項目が少なかったり……。ただでさえ人事・労務の業務範囲は幅広く、働き方改革関連法の法改正への対応や電子申請の義務化など、やるべきことは山積みである。
そのような中で、人的資本情報の開示に向けて、タレントマネジメントシステムを導入した企業もあるのではないか。しかし、「雇用契約や入社手続き、社会保険手続きや給与明細、年末調整など、人事・労務に関する膨大な書類を紙で管理しているままでは、タレントマネジメントシステムのメリットは十分に享受しきれない」と佐野氏は指摘する。
事実、タレントマネジメントシステムと合わせて労務システムも導入している企業とは、満足度に約1.4倍もの差が見られたのだという。
だが、「SmartHR」であれば、これらの課題をすべて解消することが可能だという。SmartHRは「労務管理業務の効率化」「人事データの収集・集約」「人材マネジメント」の3つの領域をカバーし、タレントマネジメントシステムと労務システムの機能を併せ持っているからである。
SmartHRにはさまざまな機能があるが、今回、佐野氏は人的資本の把握に利用できる「分析レポート機能」について紹介した。分析レポート機能は、入社手続きや社内申請、給与明細の配布などの際に、SmartHRに蓄積された人事データを簡単に集計・可視化できる機能である。
分析レポート機能には、プリセットレポートとして、「労務系」「人事系」「勤怠・給与系」の3カテゴリー、10種類のレポートが用意されており、簡単な設定をするだけで、すぐに最新データのレポートを作成できるようになっている。
<プリセットレポート>
労務系 |
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人事系 |
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勤怠・給与系 |
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株式会社はてなでは、採用強化や業務改善を目的にSmartHRを導入したところ、レポート作成に要していた時間が4時間からわずか15分に短縮されたり、入社手続きにかかる日数が10日から1日に短縮されたり、といった大きな効果が得られたほか、経営会議でも最新データの分析結果をもとに議論を行い、次のアクションにもつなげられるようになったという。
クラウド型人事労務システムとしてだけではなく、タレントマネジメントシステムとしてもトップクラスの満足度を獲得しているSmartHR。「『Employee First.』をサービスビジョンに掲げる弊社では、人事・労務のご担当者様はもちろんのこと、経営者の方や従業員の方が本当に必要な仕事に集中して、気持ちよく働けるようサポートできるプロダクトづくりをしていきたいと考えています」と語り、佐野氏は講演を締めくくった。
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