ヒューマネージは、企業で実施されたストレスチェックおよびエンゲージメント・サーベイの分析結果を発表した。同調査では、同社が提供するストレスチェック「Co-Labo」、およびエンゲージメント・サーベイ「Qraft」を実施した計187万人の調査結果を分析している。
調査の概要は以下のとおり。
- 調査時期:【2020年】2019年12月~2020年11月、【2021年】2020年12月~2021年11月、【2022年】2021年12月~2022年11月
- 対象者数:【2020年】72万9410名、【2021年】56万7004名、【2022年】57万40名
調査の結果については、同社は以下のように述べている。
「ジョブ・クラフティング」が高いほどエンゲージメントは高くなる
ジョブ・クラフティングとは、個人の「仕事を手づくりする力」。その人が持つ、自ら仕事を面白くする特性(思考や行動の癖)を指し、目標を達成するために仕事のやり方を工夫する“プロセスのクラフティング”、上司や部下・取引先とメリットを交換し合える関係を構築する“関係のクラフティング”、自分の関わる仕事や業務についてその意味を考えたり意義を再発見したりする“意味のクラフティング”の3種類がある。
下図のとおり、「ジョブ・クラフティング」と「エンゲージメント」には強い相関がみられ、ジョブ・クラフティングがエンゲージメント向上のカギであることが判明した。
「エンゲージメント」がストレス反応の軽減に効く場合・効かない場合
「エンゲージメント」と「ストレス」の関係を見るため、ストレスチェックの結果から、ストレスの原因を強く負担に感じている群(ストレッサー評価1~2:注意群)、ストレスの原因を平均的に負担に感じている群(ストレッサー評価3:平均群)、ストレスの原因をあまり負担に感じていない群(ストレッサー評価4~5:良好群)の3群に分けた。心身の状態(ストレスによっておこる心身の反応)と、エンゲージメントを高める特性である「ジョブ・クラフティング」の高低を確認したところ、下記のとおりとなった。
「ストレスの原因を平均的に負担に感じている群(平均群)」と「ストレスの原因をあまり負担に感じていない群(良好群)」は、「ジョブ・クラフティング」が高いほど、心身の状態が良いという、正の相関がみられた。エンゲージメントを高める特性である「ジョブ・クラフティング」が、エンゲージメントを高めるだけでなく、ストレス反応の軽減にも効果を発揮していることがうかがえる。
特に、「ストレスの原因をあまり負担に感じていない群(良好群)」においては、そもそも負担に感じていないためそれ以上のストレス対処が難しいが、「ジョブ・クラフティング」という新たな打ち手であれば、さらに心身の状態を良くすることが可能といえる。
他方、「ストレスの原因を強く負担に感じている群(注意群)」においては、「ジョブ・クラフティング」の高低と、心身の状態の良し悪しに相関がみられない。すなわち、この群では、エンゲージメントを高める特性である「ジョブ・クラフティング」は、ストレスの軽減に効果を発揮していない。この群については、エンゲージメントを高めることではなく、ストレスの原因への対処が効果的だといえる。
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