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人事労務事件簿 | #33

競業避止義務違反による会社の損害賠償請求を認めず(東京地裁 令和4年5月13日)


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 従業員が自社で知り得た情報や身に付けた知識を持って競合他社へ転職する。どの会社でも避けたいことでしょう。一方で、日本国憲法において職業選択の自由が規定されていることから、転職を完全に禁じることはできません。今回紹介する事案では、競業避止義務を含む秘密保持契約を従業員と交わしたものの、それが有効になる条件を満たしていないと判断され企業側が敗訴しました。企業は競争力の源泉たる企業秘密を守る契約をどう作成し、どう運用すればよいのでしょうか。

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1. 事件の概要

 本件は、原告(以下「Y社」)が被告(以下「X」)に対し、Xが令和2年10月9日付け秘密保持契約書に定める競業避止義務に違反し、あるいは自由競争の範囲を逸脱した違法な競業を行ったと主張して、債務不履行または不法行為に基づき、損害賠償請求した事案です。

(1)当事者

 Y社は、主にシステムエンジニアを企業に派遣・紹介する株式会社です。

 Y社とXは、令和元年5月10日、次の労働契約を締結しました。

  • 期間定めなし
  • 就業の場所Y社社内およびY社が指定した場所
  • 職務内容システムの設計、開発、テスト等
  • 賃金月額30万円
  • 交通費別途実費支給(1万5150円)
  • 支払方法毎月末日締め翌月15日払い

(2)Xの勤務状況について

 Y社とXは、上記雇用契約を締結後、賃金を月額35万円に増額し、Xは令和元年11月から令和2年9月30日まで、A株式会社(以下「A社」)を就業の場所として、システムエンジニアとして従事しました。

(3)Xの退職について

 Xは、令和2年8月ごろ、同年9月末日をもって、Y社に退社する旨を伝えました。退社後の同年10月9日、Y社作成の同日付け退職証明書を受領するとともに、次のとおり記載された同日付け「秘密保持契約書」と題する書面(以下「本件合意書」)に署名押印しました。

第4条(競業避止義務の確認)

私は、前各条項を遵守するため、退職後1年間にわたり次の行為を行わないことを約束いたします。

  • 貴社との取引に関係ある事業者に就職すること
  • 貴社のお客先に関係ある事業者に就職すること
  • 貴社と取引及び競合関係にある事業者に就職すること
  • 貴社と取引及び競合関係にある事業を自ら開業または設立すること
第5条(損害賠償)

前各条項に違反して、法的な責任を負うものであることを十分に理解し、これにより会社が被った一切の損害(損害賠償請求に関連して出費した調査費用、弁護士費用および訴訟費用等)、ならびに第三者が被った損害に対する賠償金等について、賠償することを誓約いたします。

第6条

退職後1年間にわたり、貴社と取引、及び競合関係にある事業者、貴社のお客先に関係ある事業者に就職する場合に、3ヵ月分給与(最後の3ヵ月の平均額を月額の基準とする)の賠償金を賠償することを誓約いたします。

(4)Xの退職後の稼働状況について

 Xは、Y社退職後の令和2年10月1日以降は、株式会社B(以下「B社」)と業務委託契約を締結してA社に通い、A社の子会社もしくは関連会社のY社と取引関係のある事業者において勤務しました。

(5)訴えの提起

 Y社は、Xに対し、秘密保持契約書に定める競業避止義務に違反し、あるいは自由競争の範囲を逸脱した違法な競業を行ったと主張して、債務不履行または不法行為に基づき、損害賠償を請求しました。

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この記事の著者

坂本 直紀(サカモト ナオキ)

人事コンサルタント、特定社会保険労務士、中小企業診断士、坂本直紀社会保険労務士代表社員。就業規則作成・改訂、賃金制度構築、メンタルヘルス・ハラスメント対策社内研修などを実施し、会社および社員の活力と安心のサポートを理念として、コンサルティングを行う。 ホームページに多数の人事労務管理に関する情報、規定例、...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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