日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)は、新入社員の意識や行動、指導者の指導や育成に関する調査報告書「イマドキ新入社員の仕事に対する意識調査2023」を公開した。
「管理職に昇進したい」新入社員は3年連続で減少
新入社員の65%が、副業などの社外経験よりも「今の会社の事業に関わるなかで成長したい」と考えていることが分かった。
また、「失敗から学ぶことは多いので、恐れずに取り組むことが大切」の回答は毎年高い割合となる一方で、「失敗したくないので、責任ある大きな仕事は任されたくない」の回答割合も毎年上昇しており、意識と行動のギャップは広がっているようだ。管理職への指向は、二極化が続いているものの、「管理職になりたい」割合は3年連続で減少する結果となった。
新入社員の過半数が出社を希望
働き方としては、柔軟かつ多様な働き方を求める傾向が強まっている一方で、この1年間の勤務場所は「オフィス」と回答した人が71.5%と前年より大幅に増加した。「仕事がしやすい環境」「今後働きたい場所」としても、オフィス(出社)と回答する割合も増加傾向にある。
出社が増えたことで周囲との関係性が大幅に改善
出社割合が高まることで、コミュニケーションが取りづらいために生じる新入社員のストレスは減少傾向にあることが分かる。加えて、この1年間で上司・先輩・同僚などとの関係性(精神的な距離)が近づいたという回答が大幅に改善しているのも、今年の大きな特徴だと同社は述べている。
なお、新入社員の課題について、在宅勤務中心の新入社員はオフィス勤務者に比べ、「上司・先輩との関係性」「自己表現」「わからないことを聞けない」など、コミュニケーションに関する課題が上位に挙がった。働く場所が多様化することのメリットがある一方で、場所の違いにより、課題が大きく異なることが分かる。
また、ChatGPTなどの生成AI利用率は45.0%であった。「仕事の問題解決や悩み相談は生成AIより人とのコミュニケーションを重視」(81.9%)など、人との対面コミュニケーションを重視している傾向があることが分かる。
指導者自身の成長実感は減少傾向
指導者の「新入社員が配属後職場になじめるか不安」という回答割合は年々減少傾向にあり、コロナ禍がスタートした2020年と比べると、24.2%減少している。また、「ここ数年、新入社員のレベルは上がっている」と感じる指導者の回答割合は毎年増加している。「この1年間で新人・若手に指導がしやすくなった」という回答割合が60%以上と大幅に改善しているのも今年の大きな特徴だという。
一方で、指導者の60%以上が「指導・育成が十分できている」と毎年回答しているものの、「指導・育成を通じて自分自身の成長を実感している」の回答割合が年々減少傾向にあり、調査を開始した2016年と比べて29.7ポイント減っている。
なお、同調査の報告書は「イマドキ新入社員の仕事に対する意識調査2023」からダウンロードできる。調査の概要は次のとおり。
- 調査方法:インターネット調査
- 調査対象:2022~2023年に入社した新入社員、新入社員の育成に関わる上司・先輩社員
- 有効回答:2631名(新入社員1064名、上司・先輩社員1567名)
- 調査時期:2023年6月
【関連記事】
・24年新入社員の勤務形態「出社」が8割以上 「入社直後は出社して仕事を覚えてもらう」の声—学情調べ
・大企業人事の約6割が新入社員のビジネスコンプライアンスに不安—hitocolor調べ
・「新入社員意識調査2023」を発表 上司に期待するのは傾聴の姿勢—リクルートマネジメントソリューションズ