自社開発で独自の強さをつくるためにHTML5を学んでいます
――山中さんは播州信用金庫にITエンジニアとして勤務する傍ら、2015年10月から京都情報大学院大学に通っていらっしゃいます。また、先ごろHTML5認定試験のレベル1を取得されたと聞きました。入学時には、すでにHTML5を使っていらっしゃったのですか?
山中勇矢氏(以下、山中):いえ、使ったことはありませんでした。私は神戸学院大学経済学部出身で、ITに携わるようになったのは、播州信用金庫に新卒採用で就職してからです。それに総合職という営業担当として採用されたのですが、配属されたのはITに関わる部署だったんです。それで、研修という形で、京都情報大学院大学に入学させてもらうことになりました。もちろん、学んだことは会社に還元するというのが使命ですが(笑)
江見:山中さんが所属する部署からは、10年ほど前まで毎年1〜2名、学院のほうへ通われていました。ただ、大学院は山中さんが初めてだと思います。
――会社からは何を学んでくるように言われたのですか?
山中:最初はとにかく、ITに関する知識を身に付けてこいと。それから、マネジメントをはじめ多くのことを学んで、会社へ戻ってきたら何ができるのかを示してくれ、と言われています。だから、当初はプレッシャーも感じていました。
しかし、実際に来て学んでみると、自分の働いていた世界って狭いんだと。最先端のIT技術などを見るようになったそう思いました。あと、現代では何をするにしても、インターネットが関係してくることを実感しました。例えば、単純に情報を取るにしても、インターネット上にあるWebコンテンツを見るじゃないですか。そのコンテンツって、HTMLで書かれている。ということは、開発言語はいろいろありますけど、「見せる」っていう部分ではHTMLが不可欠なわけで。それを理解したことで、HTMLへの学習意欲がすごく高まりました。
――金融機関のITエンジニアの方がHTMLを学ぶというのは、直感的には結びつかないのですが、資格を取得することも含めて、決してそんなことはないんですね?
山中:金融機関っていったら、COBOLがメインだというイメージですよね。古いですけど、COBOLで開発されたシステムは今でも主業務で動いてます。ただ今後は、金融機関も口座開設アプリなどを自社開発してお客様に提供するなど、独自の強みを出していかなければいけません。そこで、HTML5やJavaScriptといったWeb技術が必要なんです。
成井:スーパーコンピュータでどんなにすごい計算をしようが、最終的に可視化のところが重要になります。おそらく金融機関でも同じで、社内向けであろうがお客様向けであろうが、どうやって端末に表示されるのかと。ITエンジニアとしても、それから企業としても、これからは技術と表現の両刀使いが強いんですよね。そこにHTML5が強みを発揮する。
山中:金融機関も同じというのはおっしゃるとおりで、やはりITエンジニアも金融の知識も持ち、技術と両方を使える必要があると思います。ビッグデータを取り扱う技術を身に付けるといっても、そもそも金融機関に何が必要なのかを理解しないと意味がありません。実際には、データ解析の能力とコーディングの能力をともに備えた人物というのは、なかなかいないですけどね。
――どうしても、ITエンジニアはIT技術だけに特化しがちですか?
山中:そうですね。そもそも金融機関自体が、システムをアウトソーシングする傾向にあるんです。自社で持たない。複数の金融機関で共同利用するシステムを採用すれば、コストや運用の面ではたしかに楽なんですけど、自分たちの思うようには動かせない。しかし、金融機関も差別化が重要になる中で、自社独自の開発っていうのはすごい強みになってくるはずなんです。
私がHTML5認定試験を取得したのも「プラスの要素が大きい」と判断したからです。周りを見ても、資格を能動的に取っている人は、仕事への取り組みもやっぱり能動的だと感じます。会社側もそれを理解していて、資格取得を奨励しています。
江見:それに、資格試験の合格を目指すのは、学んできたことや知識を整理するのに非常にいいんです。