今回の担当
植田 若葉(うえだ わかば)
Great Place To Work Institute Japan
新卒でリクルートスタッフィングに入社。2016年リクルートマネジメントソリューションズに転籍し、ソリューションプランナーとして中小~大手企業までを幅広く担当。顧客企業が抱える人・組織課題の整理、提案、支援を行う。2021年より同社の事業推進部を兼務し、戦略転換期における営業組織の組織開発に携わる。2022年よりマネジメント職としてGreat Place To Work Institute Japanに参画。自らも営業、コンサルタントとして「働きがいのある会社」調査の提供や、調査の分析・研究、顧客の働きがい向上支援を行う。
ディアーズ・ブレイン:女性比率6割という従業員が制度づくりに参画
まずは、2021年版の女性ランキング中規模部門にランクインしたディアーズ・ブレインの事例です。ディアーズ・ブレインは、ハウスウエディング事業を主軸にドレス事業やレストラン事業などを手がける企業。本社は東京ですが、ゲストハウス型の施設を全国23ヵ所で展開するなど、ローカルエリアを中心に事業を行っています。「働きがいのある会社」ランキングには2017年から8年連続で選出されており、高い働きがいを維持し続けています。
ランクイン当時、従業員数は600名弱で平均年齢は31歳。ウエディングプランナーという職種が占める割合が高く、この職種に限れば平均年齢は27歳とのこと。また、会社全体の女性比率は6割を超え、女性管理職比率も30%。メイン事業であるウエディング事業部門では、女性管理職比率は45%にもなります。
ディアーズ・ブレインは、働く環境づくりに従業員を積極的に参画させている点で特徴的です。従業員からの声を収集する場があり、上がった声に対してはまず取り組んでみて、それから試行錯誤の改善で体制を整えていくというプロセスを取っています。
従業員の声を収集するために実施している施策の1つに、「店舗の雰囲気を良くする20のこと」があります。各店舗で全キャストが集まり、オーナーシップ精神を持ってアイデアを出し合い議論した結果、良いと思われるものが採用されます。ここでは経験や立場は関係なく、実際に入社1年目の社員が挙げたアイデアが採用されたケースも多くあるといいます。過去には、女性が活躍しやすい風土づくりのため、保育料補助、保活サポート、ライフキャリア相談窓口、キャリアカムバック制度、資格取得支援制度、副業制度など、数多くの制度や施策が生まれました。
また、次世代リーダーを輩出するための研修も行われています。参加にあたっては上長による推薦のほかに、全従業員が自ら手を挙げることもできます。ここでも経験や立場は関係ありません。そのほか、同社代表が研修の目的や背景に沿ったメッセージを発信したり、従業員から直接質問を受けて議論をしたりする「小岸塾」も開かれています。
これらの施策の土台には、代表自ら従業員と対等な関係を形成していることがあります。だからこそ、全員がオーナーシップを持って働く環境づくりに参画できているのでしょう。