日本能率協会総合研究所(以下、JMAR)は、従業員300人以上の企業に勤務する正社員を対象に、企業における従業員エンゲージメントの実態や、転職意向とその背景を探る「働きがいに関するアンケート」を行った。
25~34歳は転職活動に積極的
転職の意向について、「転職活動中」「直近3年以内に転職を考えたことがあるが、転職はしていない」「直近3年以内に転職を考えたことはない」の3段階で調査したところ、25~29歳と35~39歳において「転職活動中」と回答した層は、10%を超えている。また、「直近3年以内に転職を考えたことはない」と回答した割合は25〜29歳が最も小さく、年齢が上がるにつれてその割合が大きくなった。
25~29歳および30~34歳は、「転職活動中」「直近3年以内に転職を考えたことがあるが、転職はしていない」のいずれかに回答した層が半数を超えていることから、転職について比較的アクティブな年齢層であると分かった。
エンゲージメントが高い層は、転職を考えていない
転職にアクティブな25〜34歳に転職意向を質問したところ、8.9%が「転職活動中」と回答した。
JMARが定義する「エンゲージメント層」に着目すると、「転職活動中」と回答した層は4.2%にとどまり、「直近3年以内に転職を考えたことはない」と回答した層は63.1%という結果となった。一方、「不満層」では「転職活動中」が11.6%に上ることから、離職率の低下にエンゲージメントが寄与していることが示唆される。
なお、JMARの従業員エンゲージメントの定義による区分は次図のとおり。
25~34歳が転職を考えない理由、1位は「仕事のやりがい」
25~34歳の「直近3年以内に転職を考えたことはない」理由を見ると、「今の仕事にやりがいを感じているから」が26.9%で最多となり、次いで「勤務地に満足しているから」が26.4%、「今の会社の給与に納得しているから」が22.9%と続いた。
一方、25~34歳の「直近3年以内に転職を考えたことがあるが、転職はしていない」理由を見ると、「今の会社で柔軟な働き方ができるから」が14.4%と最も多く、次いで「今の会社の勤務地に満足しているから」が14.1%と続いた。
25〜34歳の転職アクティブ層は、リモートワークの有無および頻度によって転職を思いとどまる要因に違いが見られ、リモートワークを実施していない層は「勤務地」を重視している。また、リモートワークを実施している層のうち、頻度が高い「週2〜3回程度」と「週4回以上」は、「柔軟な働き方」が最重視されていると分かった。
エンゲージメント層の職種別、年齢別の傾向
職種別で見ると、「研究・開発職」のエンゲージメント層が33.0%で最も多かった。一方、「技能職」は23.6%にとどまり、不満層が半数近くいる状況である。技能職を多く抱える企業においては、技能職のエンゲージメント向上が重要になる。
年齢別では、「20〜24歳」のエンゲージメント層が31.1%で最も多く、年齢が上がるにつれ割合は減っていき、最も少ないのが「35〜39歳」で24.7%となっている。その後、エンゲージメント層の割合は年齢が上がるにつれ増えていくため、20代や30代の従業員経験の充実により、エンゲージメント層を増やすことが求められるという。
エンゲージメント層の約半数に管理職志向がある
管理職志向はエンゲージメント層において最も高く、48.3%となった。一方で、不満層においては管理職志向が10.3%にとどまり、約半数は管理職になりたくないと否定的な姿勢を示している。
なお、調査の概要は次のとおり。
- 調査名称:働きがいに関するアンケート
- 調査対象:従業員300人以上の企業における会社員・会社役員
- 対象者数:1万人
- 対象者の年代:20代以下:20.1%、30代:30.6%、40代:19.3%、50代以上:30.1%
- 対象者の性別:男性:58.8%、女性:41.2%
- 対象者の業種:製造業:30.3%、非製造業:69.7%
- 対象者の役職:一般職員:60.0%、主任級:13.5%、係長級:9.0%、課長級:11.7%、部長級以上:5.8%
- 調査期間:2024年7月11日~16日
- 調査方法:インターネット調査
- 企画・実施:JMAR
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