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データで見る従業員エンゲージメント<製造業編>

データで判明した「製造業界のエンゲージメントの低さ」 “管理部門 vs 現場”の解消が向上の鍵

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製造業界におすすめのエンゲージメント向上対策

 では、部長・課長間の情報連携を強化するにはどうすればよいのでしょうか。

 戦略・目標の伝達で重要なのは、「経営陣が伝えたかどうか」ではなく、「管理職に伝わったかどうか」です。エンゲージメントが低い企業は多くの場合、経営陣は「伝えた」と主張する一方で、管理職は「伝わっていない」と感じており、双方の認識にズレが生じています。

 管理職に「伝わった」状態をつくるためには、経営陣からの一方的な講演形式ではなく、双方向の「ワークショップ形式」で戦略・方針を伝達することをおすすめします。経営陣から部長層に伝達する前に、本部単位などで「どのように現場に下ろすのか?」「現場でどのような施策をするべきか?」といったことを議論し、各本部長と擦り合わせるのが効果的です。そうすることで、戦略・方針が現場目線に翻訳されるため、現場の従業員は日常業務に接続しやすくなります。

製造業界のエンゲージメント向上ストーリー

 最後に、製造業界の企業でエンゲージメントが向上した例をお伝えします。ぜひ取り組みの参考にしてください。

 製造業界のC社は、コロナ禍で新規受注が激減し、苦しい状況に立たされていました。企業としての先行きが不透明な中で、エンゲージメントも大きく低下していました。エンゲージメントの向上から組織の立て直しを図るべく、C社はさまざまな取り組みに着手します。

 組織を大きく変えたのが、情報の透明化です。当時、現場の従業員には、事業や顧客の状況について情報が共有されることはほとんどありませんでした。そのため、従業員は仕事の目的や自分の役割を理解しないまま、指示されたことをこなしているようなケースも多く見られました。このような状態を改善するべく、部長は課長やメンバーに対する情報共有の機会を増やしました。

 また、ただの情報共有ではなく、各階層が納得のいく意思疎通や連携にも動きます。部長や課長はメンバーに「期待している姿」を伝え、メンバーは自ら「どうしたいか」を考えることで、お互いが納得できる年間目標を設定するようにしました。そして、設定した目標に関しては進捗を確認しつつ半年に1度の面談でフィードバックを行ったことで、双方の期待が擦り合い、メンバーそれぞれの目標や活動方針が明確になりました。

 このような取り組みの結果、組織状態の改善およびエンゲージメントの向上が実現されました。縦の連携を強化することでエンゲージメントを改善した好事例だといえるでしょう。

おわりに

 製造業界は「管理部門 vs 現場」の「溝」が深まることでエンゲージメントが低下しやすい業界だといえます。エンゲージメントの向上には、縦の連携を図り、「経営と現場の断絶」を解消することが重要です。そのためには、とりわけ「部長・課長間」の接続強化がポイントになってきます。「戦略・目標の伝達」を推進し、全社で一体感を高めていただきたいと思います。

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この記事の著者

花岡 健太(ハナオカ ケンタ)

株式会社リンクアンドモチベーション コンサルタント モチベーションエンジニアリング研究所 研究員。東京大学農学部卒業後、大手損害保険会社を経て中途入社。従業員エンゲージメント向上サービス「モチベーションクラウド」やコンサルティングを通じて、100社超の組織変革を支援。現在は、研究員としてデータ分析・...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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