会社の秩序の土台をつくる「労務」
定期的に行う業務に加え、毎月のように特別な業務が発生する「労務」。たとえば今月は、年末調整に賞与支払届の提出、年間カレンダーの作成などを行い、慌ただしく師走を駆け抜けた方もいるのではないでしょうか。さらに、労務担当者には、経営からの要望や現場からの問題への対応など、やるべきことが日々降りかかってきます。
これらの課題に都度対応していくうちに、業務の全体像を見渡せなくなり、“モグラたたき”のような状態になりがちな労務のお仕事。
今回ご紹介する『図解 労務入門』(坪谷邦生、岩田佑介、古茶宏志(著)/ディスカヴァー・トゥエンティワン社)は、そんなモグラたたき状態になりやすい労務領域を、体系的に分かりやすく解説し、先手を打って体制を整え、実践できるようにまとめている書籍です。
本書は、人事の基礎をゼロから学べる「100のツボ」シリーズの最新作です。人事マネジメントの実践家として多くの企業を支援し、これまでに、「人材マネジメント」「組織開発」「目標管理」の「100のツボ」をまとめてきた坪谷氏が、社労士の岩田氏と現役人事の古茶氏を迎えて3名で書き起こしました。
「人材マネジメント」の世界だけでは、真の意味で人を幸せにすることはできない。「労務」という土台の上に、「人材マネジメント」が積み重なり、両社が相互作用する中で、真の意味で人を幸せにできる会社が生まれていく。なので、「人材マネジメント」を生業にしてきた人事ほど、「労務」をしっかり学ぶことが重要です。(p.84/古茶宏志のコラムより)
定義から実務までを「つまみ食い」できる
本書にまとめられている100のツボ(ポイント)のうち、1個目のツボはずばり「労務とは何か?」。最初の章では、労務の目的や歴史、役割といった概論が10個のツボにまとまっています。
特に労務と呼ばれるさまざまな役割を「OE(オペレーションエクセレンス)」「RM(ルールマスター)」「ST(ストラテジスト)」の3つに分ける考え方は、モグラたたきを脱却し、自身の業務を整理うえでとても分かりやすい考え方だと思いました。
そして、労務の役割を理解したあとは、「労働法・就業規則」「労働時間」「労働の対価」「生活と健康」「社内秩序」「入社・異動・退職」「労使関係」「体制」と、労務を構成する要素の実務的な解説へと移ります。
本書では、100のツボすべてにおいて、問い、解説、図解、ヒントが見開き2ページにまとまっています。今自分に必要なツボを選んで、“つまみ食い”ができるのもうれしいポイントです。
労務担当者の「成果」や「キャリア」も考える
また本書では、労務の概要や実務だけでなく、労務担当者自身にも焦点が当たっています。労務担当者に求められる成果・行動・知識・スキル・スタンス・性格などを解説したうえで、考えられる「キャリア」を図解したものが100個目のツボとなります。
たとえば、「労務の専門家を目指す」といっても、「OE(オペレーションエクセレンス)」から「RM(ルールマスター)」、「ST(ストラテジスト)」へとできることを増やしていく「進化」のほか、各役割を磨いて「深化」させるキャリアも考えられるでしょう。
他にも、転職・転身など、さまざまなキャリアデザインが可能な労務担当者のキャリアについて、分かりやすくまとめられた図と解説は必見です。
難易度の高い役割を果たしている労務担当者の未来には無限の可能性が広がっています!(p.261)
労務領域の全体像を掴めるうえ、各実務の理解も深められる本書。労務担当者ならぜひ手元に置いておきたい1冊ではないでしょうか。
著者3人の登壇が決定! テーマは「労務担当者のキャリア」
2025年2月6日(木)に開催する「HRzine Day 2025 Winter」にて、本書の著者3人の登壇が決定しました!100個目のツボでもある「労務担当者のキャリア」がテーマです。ぜひお申し込みください!
- セッション名
- 「労務担当者のキャリアデザイン~『図解 労務入門』の著者3名と考える~」
- 登壇者
- 坪谷邦生氏[壺中天]、岩田佑介氏[岩田社労務士事務所]、古茶宏志氏[人事]
- 概要
- コロナウイルスの蔓延を皮切りに「生き方」「働き方」が一気に多様化してきた現代社会において、各社の労務担当者の力量が問われるようになってきました。ただ、労務は領域の特性上、「ロールモデル」というものが分かりにくく、「どのようなキャリアを目指したらよいのか?」「どのような切り口でキャリアを考えていくのか?」といった切り口を見出すことが難しい領域でもあります。ぜひ、『図解 労務入門』の著者3名と「労務担当者のキャリア」をどのように描いていくか、一緒に考えてみませんか。