従業員の本音を引き出す個別対応のファーストステップ
個別対応を進める際のファーストアプローチとして、SmartHRではチャットツールでの個別連絡を行っています。しかし、いきなり人事から個別メッセージで、しかも本題から入ると従業員も驚いてしまうため、まずは自己紹介と「なぜ今回メッセージを送ったのか」についての丁寧な説明を心がけています。
最初に連絡した理由を伝えることで、「自分のサーベイ回答を気にしてくれているんだ」という安心感につながり、従業員が感じている課題を本音で引き出しやすくなります。メッセージのやり取りの中で課題の確認はしますが、詳細は1対1の面談でヒアリングしています。対面で話したほうが安心してもらえて、細かなニュアンスを捉えやすくなりますし、課題の深掘りも適切に行えます。
ただし、一度の面談で課題が解決するケースは少ないので、翌月以降も継続的に状況確認を行っています。
また、サーベイに本音を記入する従業員は、「組織を自分ごととして考えているタイプ」が多いため、組織改善のヒントにつながるケースも多く、人事にとっても非常に価値があると考えています。課題感がそこまで大きくない場合においても、従業員との関係を築ける意味は大きく、今後何かあった際のタイムリーな相談にもつながるため、従業員の声に向き合うことは組織改善にも通ずる大切な取り組みであると考えています。
課題解決に向けて個人へ「改善」のボールを渡す
個別対応で得られる情報として、「いろいろな方が一人称で見た景色・情報の受け取り方が分かる」という点があります。これにより、マネジメント層から見た景色・情報の受け取り方と、メンバー層から見た景色・情報の受け取り方のギャップが分かるのです。いわば、ボタンの掛け違いがどこにあるのかが分かるため、課題を立体的に捉えられます。
また、同じ組織内に同様の課題を抱えている従業員がいる可能性を考慮することも重要です。同じ組織内に共通する課題が散見されるということは、個人の課題ではなく組織の課題である可能性が高まるためです。
個人が抱える課題は、周囲の責任だけではなく、本人自身が改善すべきポイントもあります。そのため「人事はこう対応します。あなたにはこう対応(あるいは改善)してもらうことは可能ですか?」と、従業員にもボールを持ってもらうように意識しています。実際、ご自身が改善ポイントを認識することで見える景色が変わり、状況が改善することも多くあります。
また、本人と人事だけでは解決できない課題に対しては、本人の了承を得たうえでマネジメントにも共有し、N=1の意見としてではなく組織全体の課題として捉え、課題解決に向けて取り組むことも多いです。
このように、個人の課題から組織課題の早期発見へつながるケースも多いため、組織全体の傾向を確認することと同じくらい、個人の結果にフォーカスすることもとても重要になります。