人材の見える化を実現するタレントマネジメントシステムのススメ
では、理想の状態をどうしたら実現できるのか。その回答の1つは、人事情報の可視化・運用の効率化・仕組み化ができるタレントマネジメントシステムの活用だ。活用範囲は、人材配置から人材育成、スキル管理、人事評価、エンゲージメント、離職防止まで幅広い。

活用の1歩目は人材情報の収集と分析だ。では、どういった情報を収集すればよいのか。山﨑氏が挙げたのは次の4点だ。
- 基本情報 …………氏名、年齢、性別、学籍、職歴など
- スキル・経験 ……保有資格、職務経歴、スキルシートなど
- パフォーマンス …目標達成度、評価結果、KPIなど
- ポテンシャル ……適性検査結果、キャリアプランなど
タレントマネジメントシステムでは、収集した人材情報をさまざまな方法で可視化できる。たとえば、組織図やスキルマップ、クロス分析などでマッピングが可能だ。これによって、自社の強みや弱みを客観的に把握していけるという。
さらに、収集した人材情報は分析にかけることで、さまざまな人事課題を解決できる。例として山﨑氏は、「適材適所の人材配置」「人材育成・開発の効率化」「採用活動の効率化」「従業員エンゲージメント」の4つを挙げた。

なお、人材情報の可視化(人材の見える化)の進め方に関しては、次図に示した5つのステップがあるという。

また、人材情報の可視化ができると、どの能力・スキルをどのように開発するか(スキルのロードマップ)も示すことができる。そしてそこから、育成の仕組みとして研修プログラムやキャリア計画を作成することもできる。さらに山﨑氏は、人材育成のDX化(仕組み化)へのポイントとして4点を挙げた。
- リーダーが負担している人材教育の業務の大半をシステムで肩代わりする
- スキルマネジメントのシステム化
- スキルと成長ステップの見える化
- デジタルツールで代替可能な業務をクラウドサービスに置き換えること
そして、これらの実施に対して山﨑氏は、「多くの人事の方は、マネジメントが大変だと認識されています。人材育成をDX化することで、個々によるセルフマネジメントが可能になるとともにエンゲージメントが高まります。ただし、もはや『人』だけで改善できるレベルを超えているだけに、システムを入れて管理していただくほうがよいと思います」と述べ、タレントマネジメントシステム活用のメリットを強調した。
