中堅社員のキャリア志向、半数以上が「志向なし・未定」と回答—ALL DIFFERENT調べ

　ALL DIFFERENTは、ラーニングイノベーション総合研究所と共同で、社会人5年目以上の役職がついていない中堅社員（以下、ミドルキャリア）に対し、意識調査を実施した。

ミドルキャリアのキャリア志向、半数以上が「志向なし・未定」

　ミドルキャリアに対して、今後のキャリアをどのように考えているか質問したところ、「特にキャリアについての志向はない」が35.5％で最多となり、次いで「まだはっきりしておらず、今後決めていきたい」が20.5％と続いた。

　キャリア志向がはっきりしている回答としては、「スペシャリストとして、専門領域を極めたい」が13.1％で最も高く、次いで「マネジメントを行い、チームを統率したい」は8.0％、「独立したい」は4.8％となった。

　一方、キャリアが未定、または志向がない人（「まだはっきりしておらず、今後決めていきたい」「特にキャリアについての志向はない」の合算）は半数以上となり、次期管理職や次期スペシャリストとして働きたい志向の人は、2割にとどまった。

年次別のキャリア志向、社会人6年目と8年目がキャリア志向のターニングポイントか

　ミドルキャリアのキャリア志向を年次別に分析した結果、マネジメント志向・スペシャリスト志向のミドルキャリアは、社会人5年目はそれぞれ3.7％、8.4％であったものの、社会人6年目はそれぞれ6.7％、14.3％と増加した。その後は年次が上がってもあまり増える傾向はなかった。

　「役職にはつかず、メンバーとして働きたい」と回答したメンバーは、全年次15～20％前後で推移。「まだはっきりしておらず、今後決めていきたい」と回答したキャリア未定者は、社会人5年目から社会人8年目にかけて減少するものの、その後は年次が上がるにつれて、増加する傾向となった。「特にキャリアについての志向はない」と回答したキャリア志向のない人は、社会人8年目から減少する傾向が見られた。

　ミドルキャリアは、社会人6年目と8年目がキャリアに関するターニングポイントの可能性が推察できると同時に、年次が上がってもキャリアへの考えが揺らいでいる実態も垣間見える結果となった。

成長実感の機会が少ないミドルキャリアは「キャリア志向がない・未定」が高い

　ミドルキャリアのキャリア志向が、「成長実感」とどのような関係があるか調査した。同調査では、成長を実感する機会があるかという質問に対して、「とてもよくある」「たまにある」と回答した人を成長実感の多い人、「あまりない」「まったくない」と回答した人を成長実感の少ない人と分類し、比較している。　

　結果、成長実感の多い人は、「スペシャリストとして、専門領域を極めたい」「役職にはつかず、メンバーとして働きたい」「まだはっきりしておらず、今後決めていきたい」「特にキャリアについての志向はない」がほぼ同率で2割が回答する結果に。「マネジメントを行い、チームを統率したい」は14.0％となった。

　一方、成長実感の少ない人は、「特にキャリアについての志向はない」と回答した人が半数以上に上った。また、「マネジメントを行い、チームを統率したい」は2.0％、「スペシャリストとして、専門領域を極めたい」は6.0％で、1割未満にとどまった。

　成長実感の多い人はキャリア志向を明確に持っている人が約6割おり、成長実感が少ない人はキャリア志向がない、または未定の人が約7割いる結果となったことから、成長を感じる機会がキャリア志向に影響していることが示唆できるという。

離職意向のある人は「キャリア志向がない・未定」と約6割超が回答

　ミドルキャリアのキャリア志向が、現在の会社への「勤続」「離職」「意向」と関係があるかを調べた。同調査では、現在の会社で働き続けたいかという質問に対して、働き続けたいと「感じる」「どちらかといえば感じる」と回答した人を勤続意向者、働き続けたいと「どちらかといえば感じない」「感じない」と回答した人を離職意向者と分類し、比較している。

　結果、勤続意向者のうち、「マネジメントを行い、チームを統率したい」は12.6％、「スペシャリストとして、専門領域を極めたい」は15.7％、「役職にはつかず、メンバーとして働きたい」は18.0％、「独立したい」は3.1％となり、約半数がキャリアを明確に考えていることが分かった。

　また、離職意向者のうち、「マネジメントを行い、チームを統率したい」は2.3％、「スペシャリストとして、専門領域を極めたい」は9.9％となり、勤続意向者よりも低い割合となった。一方、「独立したい」は6.8％、「まだはっきりしておらず、今後決めていきたい」は22.0％、「特にキャリアについての志向はない」は40.8％と、勤続意向者より高い割合に。離職意向者は、キャリアが明確に定まっていない人が多いことが分かった。

理想の職場の雰囲気・文化、キャリア志向別に異なる特徴あり

　最後に、キャリア志向別に理想とする職場の雰囲気・文化が異なるかを調査をした。マネジメント志向のミドルキャリアは、「互いに協力し合い、チームワークを重視する文化」と回答した割合が42.2％となり、他の群よりも高い割合となった。

　また、スペシャリスト志向のミドルキャリアは、「互いに協力し合い、チームワークを重視する文化」が31.4％と最も高く、次いで「成果や効率などパフォーマンスを重視する文化」が29.5％と続き、ほかの群の中で最も高い割合となった。

　役職にはつかず、メンバーとして働きたいミドルキャリアは、「互いに協力し合い、チームワークを重視する文化」が34.5％と最も高い結果となった。

　将来、独立をしたいと考えているミドルキャリアは、「裁量が大きく、社員の自律的な行動・提案が重視される文化」が31.6％と最大の割合となり、他の群よりも突出した。3位となった「新しいアイディアや創造を推奨する文化」は23.7％と、ほかの群と比べて高い割合となっている。

　キャリアについてまだはっきりしておらず、今後決めていきたいミドルキャリアは、「互いに協力し合い、チームワークを重視する文化」が34.1％で最多となり、次いで「多様な考え方や働き方を尊重する文化」が22.6％と、他の群よりも高い割合となった。

　キャリアについての志向がないミドルキャリアの理想は、「互いに協力し合い、チームワークを重視する文化」が26.8％と最大の割合となった。次に「努力やプロセスを重視する文化」が25.7％と続き、ほかの群より突出した結果となった。

　なお、調査の概要は次のとおり。

• 調査名称：ラーニングイノベーション総合研究所「中堅社員の意識調査（キャリア志向編）」
• 調査対象者：社会人5～11年目以上の管理職未満の就労者
• 調査時期：2024年12月24～25日
• 調査方法：調査会社によるインターネット調査
• サンプル数：800人（社会人5年目107人、同6年目105人、同7年目104人、同8年目105人、同9年目103人、同10年目105人、同11年目以上171人）
• 属性：
  1. 業種
     • 農業・林業　7人（0.9％）、鉱業・採石業・砂利採取業　2人（0.3％）、建設業　37人（4.6％）、製造業　156人（19.5％）、電気・ガス・熱供給・水道業　9人（1.1％）、情報通信業　63人（7.9％）、運輸業・郵便業　37人（4.6％）、卸売業・小売業　58人（7.3％）、金融業・保険業　38人（4.8％）、不動産業・物品賃貸業　20人（2.5％）、学術研究・専門・技術サービス業　18人（2.3％）、宿泊業・飲食サービス業　8人（1.0％）、生活関連サービス業・娯楽業　17人（2.1％）、教育・学習支援業　32人（4.0％）、医療・福祉 146人（18.3％）、複合サービス事業　9人（1.1％）、サービス業・他に分類されないもの 45人（5.6％）、公務　66人（8.3％）、その他　32人（4.0％）
  2. 企業規模
     • 1～50名：129人（16.1％）、51～100名：100人（12.5％）、101～300名：142人（17.8％）、301～1000名：120人（15.0％）、1001～5000名：121人（15.1％）、5001名以上：131人（16.4％）、分からない：57人（7.1％）

【関連記事】
・20代後半〜30代の転職理由、1位「給与・年収アップ」、2位「やりがいのある仕事がしたい」—学情調べ
・中堅社員が理想とする職場文化は「チームワーク重視のカルチャー」が最多—ALL DIFFERENT調べ
・フィードバックが活発だと「成長実感率」「働きがい」が高まる　日本CHRO協会と共同調査―U-ZERO