ALL DIFFERENTおよびラーニングイノベーション総合研究所は、管理職531名を対象とした「管理職意識調査」の結果を発表した。調査は2025年5月20日から7月17日にかけて実施。今回は部下育成における「評価」「フィードバック」「離職防止への取り組み」に焦点を当てて結果を発表した。
調査結果によると、管理職が部下を評価する際の最大の課題は、「チーム内で極端な評価をつけることをためらってしまう」とする回答で、27.9%だった。次いで「評価時、一人ひとり十分に時間をとることができていない」(27.0%)、「評価の期間全体で評価せず、直近の状況に引きずられてしまう」(25.2%)が続いた。

管理職の経験年数別では、新任管理職(1~3年目課長クラス)で「部下に嫌われたくないために、厳しい評価から逃げている」割合が23.5%と他のステージより高く、幹部候補(部長クラス)では「チーム内で極端な評価をつけることをためらってしまう」が35.7%と突出していた。

部下へのフィードバックについては半数以上の管理職が「躊躇したことがある」と答え、その理由として最も多かったのが「部下の反応に対して不安があるから」(54.2%)であった。この理由は経験年数や役職にかかわらず全体的に見られ、2023年以降増加傾向にあり、2025年は半数を突破した。


離職防止への取り組みでは、「業務量の負荷の調整」や「感謝やいたわりの言葉がけ」が多く実施されていた。幹部候補においては「期待や果たしてほしい役割の伝達」も高い割合を占めていた。

調査結果を踏まえ、ALL DIFFERENT コンテンツマネジメント部 コンテンツ開発リーダーの木下桃子氏は、厳しい評価やフィードバックを部下が受け入れて前向きに行動が変わるようにするには、日頃から管理職が部下をよく見て、ポジティブな関わりを持つことが重要だと強調。期待を伝えたり、成長した点をフィードバックしたりするといった関わりが積み重なることで、「この上司は、自分を見てくれている」と部下は思い、厳しい評価・フィードバックも受け入れやすくなるとした。
また、評価を適切に行うことは、組織全体のパフォーマンス向上にもつながるため、企業としては、管理職へ評価制度の目的・仕組み・評価項目の基準を説明することや、評価にあたっての心構えや日常的に行うとよい準備について学ぶ機会を提供するといった取り組みをすることが有効だと指摘した。
調査概要
- 調査対象者:当社が提供する管理職向け研修の受講者
- 調査時期:2025年5月20日~7月17日
- 調査方法:Web・マークシート記入式でのアンケート調査
- サンプル数:531名
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