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2026年2月5日(木)@オンライン

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HRzine Day 2026 Winter セッションレポート | #11

川崎重工のマネジメント研修 経営層・マネージャーを巻き込みやる気にさせた人事の“執念”の取り組みとは

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 企業の組織を支えている現場のマネージャー。当然、彼ら彼女らへのマネジメント研修は重要であるはずだが、実際には経営層の理解が薄かったり、当のマネージャーも身が入らなかったりすることが少なくない。研修を担当する人事としては心が折れそうだが、研修講師から「執念」と言わしめるほどの熱意でマネジメント研修を推進している人事がいる。川崎重工業株式会社(以下、川崎重工)の喜瀬川蒼太氏だ。イベント「HRzine Day 2026 Winter」では喜瀬川氏と、マネジメント研修講師である株式会社Momentorの坂井風太氏が登壇。喜瀬川氏の熱意の源から、研修の推進を阻む3つの課題を喜瀬川氏がどう乗り越えているのかまでを明らかにした。本稿ではその模様をお届けする。なお、対談の司会はHRzine編集長の市古明典が務めた。

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ここまで気合いを入れて研修に取り組む人事がいるのか

 坂井風太氏が提供するマネジメント研修を大規模に導入し、粘り強く施策を推進している喜瀬川蒼太氏。坂井氏から見た喜瀬川氏の印象は、淡々として冷静でありながらも、すさまじい執念と粘り強さを持って取り組みを進める人物だという。

 「川崎重工という大企業で、入社8年目の若手社員がこれほど大規模な施策を推進し、稟議を通したことには非常に驚かされました。それを成し遂げ、事業部の課長や部長クラスの方々からも厚い信頼を得ているのは見事です」(坂井氏)

 喜瀬川氏は2016年に川崎重工へ新卒で入社した。最初の配属は経理部門。そこで5年間、売上管理や決算業務などを経験した。それから2021年に人事部門へ異動となり、2023年からは人事制度や組織開発といった業務に携わるようになった。最初から人事領域に強い興味があったわけではなかったが、業務を通じて徐々に関心を深めていったという。

 川崎重工においてエンゲージメントサーベイの導入が始まったのは、喜瀬川氏が人事に異動した2021年ごろ。2023年にその担当となった。しかし、そこで大きな壁に直面する。

 「サーベイを実施し、組織課題を分析してみて、どのあたりに課題があるかまでは見えてきました。しかし、具体的に何をすればその課題が解決するのかについては、正直なところよく分からなかったのです」(喜瀬川氏)

喜瀬川 蒼太氏

喜瀬川 蒼太(きせがわ そうた)氏

川崎重工業株式会社 エネルギーソリューション&マリンカンパニー 人事総務部

2016年、川崎重工業に新卒入社。経理としてキャリアをスタートし、2021年に人事に異動。人事では採用・教育・労務管理・人事制度・組織開発などの業務を担当。2024年に坂井風太氏のプログラムを社内に導入し、推進・展開を主導。

 自分の持論で考えた施策は本当に正しいのか、根拠があるのか、効果が出るのか——自信を持てなかった喜瀬川氏。施策を導入される現場としては、根拠のないものを押し付けられても困惑するだけである。そこで、ある程度自信と根拠を持って施策を推進し、周囲に説明しきれる力を養うため、網羅的な勉強を開始した。

 その学習の過程で出会ったのが、坂井氏が発信する情報やマネジメント理論だった。喜瀬川氏は、「まさに自分がこれから勉強しようとしていた領域を、日本で最も整理されている方だ」と感じ、「車輪の再発明はやめよう」と決意して坂井氏に相談を持ちかけたのが、研修導入のきっかけとなった。

[画像クリックで拡大表示]

 研修を始めた坂井氏は、喜瀬川氏の圧倒的な熱量に驚かされることになる。坂井氏のプログラムは1班10名で行われ、川崎重工では合計20班・約200名のマネージャー層が対象となったが、喜瀬川氏はすごい行動に出た。

 「喜瀬川さんは、ほとんどすべての回にオブザーバーとして参加されていました。誰よりも質問し、熱心にメモを取る姿を見て、主催者がこれほど本気で取り組んでいることこそが一番重要だと感じました。これだけ気合いの入った人事担当者がいるのは、本当にすさまじいことです」(坂井氏)

坂井 風太氏

坂井 風太(さかい ふうた)氏

株式会社Momentor 代表取締役

DeNA入社後、事業責任者、子会社代表と並行し、人材育成責任者として、人材育成・マネジメント基盤を構築。体系的かつ実践的な内容が好評を博し、大企業・スタートアップ・国立大学・官公庁など、400社を超える組織にプログラムを提供。『PIVOT』『TBS News Dig』『ReHacQ』『NewsPicks』など、YouTube動画が累計1000万回再生を突破。

 さらに、研修後には「坂井さんは講義でこの部分に気をつけていると思うのですが、合っていますか」と、坂井氏が受講者の注意を引くために行っている工夫(「この質問は5分後に指名して回答いただきます」と言うなど)に至るまで、詳細な観察と分析を行っていた。

 「研修の中で『経験学習理論[1]』の話があったので、せっかくなら研修を受けているその場で学習サイクルを回してみようと思ったのが最初のきっかけ」という喜瀬川氏だが、「圧倒的に詳しくなろう」という意欲と、自らの時間を投下して本気で学ぶ姿勢は、20歳も上のマネージャー層からも信頼を獲得する大きな要因となっていた。

[1]: デイビッド・コルブ氏が提唱した理論。経験→内省(振り返り)→概念化(教訓の引き出し)→適用の4つをサイクルさせて学びを深めていく。

次のページ
経営層との課題合意と現場の巻き込みをどう進めたか

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この記事の著者

北浦 汐見(キタウラ シオミ)

都内のスタジオに勤務後独立。ポートレート、取材、料理撮影等、都内を中心に活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

市古 明典(HRzine編集長)(イチゴ アキノリ)

1972年愛知県生まれ。宝飾品会社の社員、辞書専門編集プロダクションの編集者を経て、2000年に株式会社翔泳社に入社。月刊DBマガジン(休刊)、IT系技術書・資格学習書の編集を担当後、2014年4月より開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集に参加。その後、2017年7月にエンジニアの人事をテーマとする「...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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