人材流動化の時代だからこそ社内にある選択肢を示せ
——小出さんは、2026年を「人材流動化の元年」と位置付けていらっしゃいます。具体的に何がどう変わるのか、最初にお聞かせください。
外部労働市場へ転職する動きはどんどん加速しており、人材流動性は十分高まってきています。要因はいくつかありますが、1つは事業環境の変化が早くなり、事業の寿命が短くなっていることです。
そうした中で、新しいことを始めたり特定の事業を踏み込んだりするには、やはりスピードが非常に重要。そこで即戦力となる人材を登用していこうと考えたとき、社内にいる方たちだけでなく、外部からもフィットする方を採用したいという企業側の需要が大きくなっています。その結果、個人の選択肢も広がり、大手企業でも中途採用の枠がどんどん広がっています。10年前の大手企業は、中途採用といえば欠員補充に近く、基本は新卒採用した方を配置転換していくのが主でしたが、その流れが大きく変わってきていると感じます。
小出 毅(こいで たけし)氏
株式会社ビズリーチ 執行役員 HRMOS事業部 事業部長
慶應義塾大学経済学部卒業後、大手IT企業や大手人材サービス企業を経て、2016年、株式会社ビズリーチ入社。「ビズリーチ・キャンパス」を展開する新卒事業部の事業部長などを務め、2022年8月、HRMOS事業部事業部長に就任。現在は、Thinkings株式会社取締役も兼任。
——なるほど、大手企業においても外部から人を入れることが当たり前になってきているのですね。
はい。ただ一方で、この動きによって離職も同時に増えています。離職理由についてのインタビューやアンケートを行ってみると、返ってくる答えは「こういう仕事に挑戦したいから」。しかし、特に大手企業では「その仕事はうちの会社にもある」ということがよくあります。なのに、なぜ挑戦しなかったのかと問うと、「知らなかった」「どうせ異動できないと思っていた」という声をよく耳にします。
外部の選択肢が広がり転職が増えているいま、社内の選択肢や可能性をもっと提示するべきではないでしょうか。そうしなければ、挑戦したいという社員は出て行ってしまう——離職者の声を聞いた多くの人事や経営層の方はそう思い始めていると感じます。
——社内に望むような部署があると分かり、そこへ公募制度などにより異動できるとしたら、転職しないという判断は当然出てきます。
友人や同期が転職を選択するケースが増え、転職という手段自体は身近になっています。一方で、社内に選択肢を提示できれば、「転職しなければできない」と思っている状況を変えられる可能性があります。それぞれの部門が、他社よりも魅力的な会社であり、組織であることを追求するフェーズに入っていくのではないでしょうか。
1つ補足すると、社内の人材流動性は事業環境の変化によっても自然に高まっています。たとえば主力だった事業が伸び悩み、一方で伸びそうな事業がある場合、企業は成長事業へ人材をシフトさせたいからです。来るべき大きなリソースシフトに向けて人材とポジションの可視化をしておきたいというご相談は、外部労働市場の動きに関係なくものすごくいただきます。

