SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

HRzine Day(エイチアールジン・デイ)は、人が活き会社が成長する人事のWebマガジン「HRzine」が主催するイベントです。毎回、人事の重要課題を1つテーマに設定し、識者やエキスパードが持つ知見・経験を、参加者のみなさんと共有しています。

直近開催のイベントはこちら!

HRzine Day 2026 Winter

2026年2月5日(木)@オンライン

主要製品スペック一覧

人事業務の効率・確度・精度を高めるために欠かせないHRテクノロジー。その主な製品の機能を分野ごとに比較できる資料群です。製品検討の参考資料としてご活用ください。

eラーニング・LMS<br>主要製品スペック一覧 2024

eラーニング・LMS
主要製品スペック一覧 2024

その他のスペック一覧

人事労務管理システム<br>主要製品スペック一覧 2023

人事労務管理システム
主要製品スペック一覧 2023

タレントマネジメントシステム<br>主要製品スペック一覧 2023

タレントマネジメントシステム
主要製品スペック一覧 2023

労働基準法大改正 特集 | 読み解き方と求められる対応

労基法大改正は論点拡大で別物に AI政策と雇用政策も一体化する中で企業は雇用に「世界観」を持つべし

  • Facebook
  • X
  • note
  • hatena

 2025年11月末にHRzineで公開された拙稿「労働基準法大改正の解説」は、多くの方にお読みいただきました。それから半年が経ったいま、認識を改めていただきたいことがあります。この半年で、労働基準法(以下、労基法)改正の論点は消えたわけでも、棚上げされたわけでもありません。しかし、それらの論点が、全く別次元の政策議論と合流し、従来の「労基法改正」という枠組みでは捉えきれないほど大きく拡大しています。従来の論点の理解自体は基盤として重要ですが、「労基法改正の範囲」は完全に変わっているといえるでしょう。従来の理解は情報が古くなっており、そのため、認識を改めていただく必要があるのです。本稿では、2026年5月27日の日本成長戦略会議 労働市場改革分科会の「とりまとめ(案)」の内容まで踏まえてお伝えします。あらゆる企業で自社の「働き方」を捉えるうえでの重要情報です。

  • Facebook
  • X
  • note
  • hatena

はじめに——労基法改正は「論点が拡大し、全く別物になっている」

 労基法改正については現在、裁量労働制をはじめとする働き方のいっそうの柔軟化の議論が行われています。それらが、AI政策による働き方の進展と、人材育成・人材流動性を含む人的資本経営の論点と一体的に検討される局面に入っています。日本成長戦略会議の労働市場改革分科会では、経済産業省の「人材版伊藤レポート2.0」が厚生労働省の論点整理資料に正式に組み込まれ、人工知能基本計画(以下、AI基本計画)は雇用と「人間力」を正面から論じています。

 この状況に対して、法改正の確定した後の項目への対応だけでは到底追いつきません。求められているのは、AI活用と人材戦略と労働法制を統合的に捉える自社の「世界観」の形成です。法改正の各論対応の前にそれが絶対に必要だと筆者は考えています。

 自社にとって、少子高齢化がさらに加速して進む世界でどのような多様な働き方をし、AIはどのような役割を果たし、何を競争力の源泉とするのかという全体像を持つこと。本稿では、この半年の政策動向を俯瞰しつつ、その「世界観」形成に必要な論点を整理します。

労基法改正は「2幕構造」の局面に入った

 現在の労基法改正をめぐる議論は、大きく2つの流れが重なり合う「2幕構造」として捉えるのが実態に即すると考えます。

[画像クリックで拡大表示]

第1幕:労働基準関係法制研究会報告書ラインの論点

 厚生労働省の労働基準関係法制研究会は、2025年1月にまとめた報告書で23を超える改正項目を提示しました。事業場概念の再定義、連続勤務の上限規制(13日を超える連続勤務の禁止)、勤務間インターバル制度の義務化、法定休日の特定義務化、「つながらない権利」のガイドライン化、副業・兼業における割増賃金の通算見直し、管理監督者の健康確保措置、年次有給休暇取得時の賃金算定方法——これらの論点は、現在も審議の俎上にそのまま残っています。

 前回の拙稿でも触れたとおり、これらの改正項目は個別に見れば「規制」の話にも見えますが、俯瞰すれば、時間・場所・1社専属という従来の雇用モデルを前提とした制度が根本から組み替わる、という一貫した方向性の現れです。

第2幕:日本成長戦略会議からの政策的な追加指示

 もう1つの流れが、2025年10月に発足した高市政権が設置した日本成長戦略会議からの動きです。第2回会議(2025年12月24日)では、高市首相が関係閣僚に対して「心身の健康維持と従業者の選択を前提として、柔軟で多様な働き方を実現することが重要。労働時間規制の運用・制度の両面から、検討を加速してください」と指示しました。

 続く2026年2月20日の施政方針演説では、裁量労働制の見直し、副業・兼業にあたっての健康確保措置の導入、テレワークなど柔軟な働き方の拡大が明確に掲げられました。そして2026年3月11日、労働市場改革分科会の第1回会合が開催され、4月3日の第2回会合では、厚生労働省事務局の論点整理資料に人材版伊藤レポートのフレームワーク(3つの視点と5つの共通要素)が出典明記で正式に転載されました。共通要素の第⑤項「時間や場所にとらわれない働き方」は、「兼業・副業、リモートワーク」を人事施策として明記しており、労基法改正の具体論点と直接接続する構造です。

 さらに同資料の論点⑨では、「企業における人材マネジメントの課題解決に向けた取組と、(中略)経営課題の解決に向けた取組が一体となって実施されることが重要」と明記されました。人的資本経営および働き方の制度を経営戦略とつなぐ記載であることが注目され、実施レベルで一体のものとして扱うことの重要性が高まっています。

 その後、労働市場改革分科会は4回を数え、2026年5月27日の第4回会合では、分科会のとりまとめ(案)が提示されました。本質的に注目されるのは、これが厚生労働省の管轄する資料であるにもかかわらず、前半のほとんどが人的資本経営と労働市場の検討がされている点です。今まで人的資本経営は主に経済産業省が主管している政策でしたが、働く質と戦略の検討がますます必須になってきているのだと捉えられます。

 とりまとめ(案)では、激変する産業構造の中で、AIへの対応を含むリスキリング、専門職や現業職のニーズ増加、副業兼業や労働移動を視野に入れて自社の雇用を捉える必要性が提示されています。そしてその中で、女性活躍施策や同一労働同一賃金などを含む活躍支援の徹底と、裁量労働制を含む、より柔軟で戦略的な働き方を、1社1社で自社の戦略に応じて一貫した検討を行う必要があることが示されているのです。

最大の焦点は裁量労働制

 これら2つの幕が交差する中で、2026年春時点での最大の焦点は裁量労働制の見直しです。経団連は裁量労働制の適用範囲拡充を最重要課題に位置付け、連合は実態調査を踏まえた慎重姿勢を示しています。重要なのは、どちらの方向に決着しても、企業の働き方の設計そのものが根本から問い直されるという点です。

次のページ
政策スケジュールは「2026年夏」が1つの節目

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
  • hatena
この記事の著者

松井 勇策(マツイ ユウサク)

産学連携シンクタンク iU組織研究機構 代表理事・社労士。情報経営イノベーション専門職大学 客員教授(人的資本経営・雇用政策)。社労士・公認心理師・AIジェネラリスト。
時代に応じた先進的な雇用環境整備について、雇用関係の制度や実務知識、特に国内法や制度への知見を基本として、人的資本経営の推進・AIやICT関係の知見を融合した対...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事をシェア

  • Facebook
  • X
  • note
  • hatena
HRzine
https://hrzine.jp/article/detail/7756 2026/06/01 08:00

Special Contents

AD

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

HRzine Day(エイチアールジン・デイ)は、人が活き会社が成長する人事のWebマガジン「HRzine」が主催するイベントです。毎回、人事の重要課題を1つテーマに設定し、識者やエキスパードが持つ知見・経験を、参加者のみなさんと共有しています。

2026年2月5日(木)@オンライン

イベントカレンダーを見る

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング