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インタビュー | チームビルディング・チーム運営

社長がフィーリングで作り上げた個性のぶつかり合うエンジニアチーム、自らやりたいことを発し摩擦も解消する運営の秘密とは――株式会社ソノリテ 齋藤和政氏、荻原千佳氏

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 株式会社ソノリテは、マイクロソフト製品を使用してシステム基盤を構築することに強みを持つ開発会社だ。開発力はもちろんだが、同社はITエンジニアをはじめとする社員を、大変ユニークな方法で採用することでも有名である。良い人がいると聞けば、社長自ら食事に誘って会う。採用基準は社長のフィーリング。「創造的破壊」や「日々成長させることを前提とした受け入れ態勢」を掲げ、そうして個性的な人材から積極採用してきた。そのねらいは何か。そして現場は? 同社 代表取締役 プリンシパル・コンサルタントの齋藤和政氏と、同社 広報の荻原千佳氏にうかがった。

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「面白いことを一緒にしたい」で採用

――御社が「創造的破壊」や「日々成長させることを前提とした受け入れ態勢」など、ユニークな採用を始めたのはいつごろからですか。

齋藤:採用に対する考えが今のように変わったのは5年前くらいですね。弊社はマイクロソフトのSharePointやOffice 365などの分野に強いのですが、マイクロソフト系の技術者を補充するような採用ではなく、一緒に面白いことをやろうというスタンスで、ノリが合ったら採用しようというかたちでやってきました。そうして5年前には20人弱だったメンバーが、今では60人くらいにまで増えました。

 私は創業3期目から社長になったのですが、それまで採用に関してはまったく経験がありませんでした。即戦力の経験者が欲しいのはやまやまです。しかし、事業を他社と同じようにやっても仕方がない。そこで、個性重視で一緒に楽しんでくれる人が集まらないかなと思って、今の方法にしました。

齋藤 和政氏
齋藤 和政(さいとう かずまさ)氏
株式会社ソノリテ 代表取締役 プリンシパル・コンサルタント
東海大学工学部卒業。日立系、東京電力系のシステムエンジニアを経て、2011年に株式会社ソノリテの代表取締役就任。2013年ごろから、新しい採用の形に挑戦し、当時20名弱だった社員数が、今では60名規模に拡大。ホームページから入社希望者が絶えない会社へと成長している。

――5年前からするとメンバーの数は約3倍。そのうち3分の2を個性重視で採ってきたのはすごいですね。

齋藤:そういう形で活発に動いていると、私たちの持っているコンピテンシーに共感して入ってくる人もいます。そういう人が集まってくる中で多軸的にビジネスを立ち上げ、何本も失敗するうちに1本くらいは当たったりしています。流行り言葉で言うとダイバーシティ(多様性)を追求する形で組織化ができてきて、最近それがようやくかみ合い始めたところです。

――最初からスムーズにいったわけではなかったのですね。

齋藤:最初は即戦力が欲しいけれども、高い給料を払えるわけではないという部分で、どうしようかと模索しました。

――ユニークな採用を始めたころに採った人は、どのような経歴やキャラクターの人が多いのですか。

齋藤:バラバラです。1つの傾向として、うちを面白いと思って入ってくる人は現在の日本の就活、いわゆるリクルートスーツを着て、エントリーシートの書き方を学んで、面談の予行練習をすることが馬鹿らしいと思っている人が多いかもしれません。海外に留学した経験がある人も多いです。

荻原:あとは、何か打ち込んでいたものがある人が多いと思います。

齋藤:こういう話をすると「齋藤さんのところは一芸入試をしているのですね」と言われるのですが、それはすごく嫌ですね。でも、絶対に受けるひとネタを持っている人が多いのは事実です(笑)。

――留学をするにしても何かに打ち込むにしても、自分で見つけてやっている人なので、働く先もレールに乗るのではなく、そういったことをわかった上で受け入れてくれる御社と水が合ったのかもしれませんね。

齋藤:そんな気はしますね。ある程度IQが高くて自分がプライドを持てる何かを持っていると、いわゆる就活に対して違和感を持ったり、自分らしくないことに対して打ち込めなかったりします。私としてもそういう人が好きなので、話していくうちに「じゃあ一緒に何かやろうよ」となるのです。私たちのビジネスのコンピテンシーを欠片も持っていなくても、「一緒にやれるといいよね」みたいなところから始まっていきます。

――そこですよね。そもそもうちでやっている仕事ができるかどうかという前提ではなく採っているということは、例えば1年経てばできるという期待を、ある意味ではしないわけじゃないですか。そのへんは最初に始めるとき不安ではなかったのですか。

齋藤:それほど不安はなかったです。現在やっている仕事のコンピテンシーやビジネスモデルなども含めて、彼らは自分に自信がありました。ですから何とかなるだろうと。不安がなかったと言えば嘘になるかもしれませんが、「不安を抱えても個性を出していこう」みたいなところに自分は“乗れた”ので、このやり方なら自分はできると思ってしまったのです。「誰もできない、でも俺ならできる」みたいな。そのへんがバカなのですよ(笑)。

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この記事の著者

市古 明典(IT人材ラボ ラボ長)(イチゴ アキノリ)

1972年愛知県生まれ。宝飾店の売り子、辞書専門編集プロダクションの編集者(兼MS Access担当)を経て、2000年に株式会社翔泳社に入社。月刊DBマガジン(休刊)、IT系技術書・資格学習書の編集を担当後、2014年4月より開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集に参加。その後、資格学...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

八鍬 悟志(ヤクワ サトシ)

都内の出版社に12年勤めたのちフリーランス・ライターへ。得意ジャンルは労働者の実像に迫るルポルタージュと国内外の紀行文。特にヒンドゥ教の修行僧であるサドゥを追いかけたルポルタージュと、八重山諸島を描いた紀行文には定評がある。20年かけて日本百名山の制覇を目指しているほか、国内外を走るサイクリストとし...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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