一般社団法人生成AI活用普及協会(GUGA)は、「新卒社員向け生成AI研修に関する実態調査」の結果を公表した。同調査は、企業の従業員向け生成AI活用教育の担当者1014名を対象に実施され、新卒社員への生成AI研修の普及状況と、運営上の課題が明らかになった。
調査によれば、2026年度に新卒社員向け生成AI研修を実施した企業は全体の93.5%に達した。しかし、全員を対象とした企業が38.5%にとどまる一方、「特定の部署・業務を対象に実施」「試験的・一部を対象に実施」は55.1%と、限定的な実施の傾向が高いことが示された。生成AI研修は多くの企業で標準的なテーマになりつつあるが、全社的な普及には課題が残る。
研修内容については「リスク」を扱うものが49.6%で最多となり、「基礎知識」(48.7%)、「社内ルール」(48.2%)が続いた。AIスキルそのものよりも、誤情報や情報漏洩、著作権侵害への対応など、AIリテラシーが重視されている。企業は安全なAI活用のための知識や判断基準の整備を優先している姿勢が見て取れる。
新卒社員が業務で生成AIを利用する際のリスクについても、「特に懸念していない」との回答は3.2%にとどまり、「著作権・知的財産の侵害」(45.7%)、「誤情報の鵜呑み」(43.0%)、「情報漏洩」(42.7%)への懸念が広く共有されていた。企業規模や地域を問わず共通の課題である。
ただし「シャドーAIの発生」(企業が許可していない外部AIツール利用)への懸念は、首都圏や大企業で高くなる傾向。また、論理的思考力・問題解決能力の低下への懸念は大企業に多く、生成AI活用の進展度合いによる新たな副作用への注意も高まっている。
研修後の手応えとして、新卒社員の生成AI活用レベルに対する評価を質問したところ、AIリテラシーでは「非常に高い」が17.3%、「やや高い」が48.1%で、合計65.4%に達した。AIスキルに対する評価も同様の傾向であり、多くの企業が研修の成果を実感している様子がうかがえる。
また、研修を企画・運営するうえでの課題を項目別に質問したところ、全体ではいずれの項目も「非常に課題に感じている」との回答は24.0〜28.8%にとどまった。しかし、研修後の生成AI活用レベルを「非常に高い」と評価した層に限ると53.1〜67.7%と大きな差がみられ、研修内容の設計に対し約3人に2人(67.7%)が強い課題意識を抱いている実態が浮き彫りとなった。このような逆説的な事象は「AIネイティブパラドックス」という、AIネイティブ時代ならではの新たな人材育成の課題だといえる。
生成AI研修の成果測定については、「トレーナーのフィードバック」(52.9%)や「レポート・課題の提出」(47.8%)といった属人化しやすい手法が中心であり、「社内独自テスト」や「外部資格試験」は相対的に低い。同調査では評価基準の標準化の必要性も示された。
新卒社員の生成AI活用レベルを客観的に評価するために、88.7%が生成AI関連の資格・検定に関心があると回答。中でも研修後のレベルを「非常に高い」と評価した担当者層ほど、外部指標による客観的評価の必要性への関心が高い傾向がみられた。
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