本調査によれば、2018年はあらゆる産業でデータ利活用やAI開発/導入、クラウドなどのインフラに関わる求人が急増した。自動運転、スマートサプライチェーン、インダストリー4.0などIoT技術の開発/導入が進む中、通信インフラ整備の鍵となる第5世代移動通信システム(5G)実現に携わる求人も目立ったという。
同社の代表取締役社長 ジェレミー・サンプソン氏は「IT業界のテクノロジーベンダーで求人が圧倒的に増えている」と指摘。AIや機械学習、データ統合・分析に能力を持つエンジニアの求人が上昇。一般に転職時に給与が前職より上がるケースは全体の10~19%といわれる中、AIやデータ活用のスペシャリストの場合、その比率は20~29%になることを明かした。そのほかIT業界では、デジタルトランスフォーメーション、RPA、ネットワークセキュリティに携わるエンジニアの需要も高まっている。
また、サンプソン氏はすべての業種で「人事担当者」の求人も急増していることに言及。とりわけ、人事部長や人事ビジネスパートナー(大企業にある部門の1つで、人事と事業部門とをつなぐ)といった職位での求人が増えているという。これには、「働き方改革やテレワーク導入など、近年の人事・労務まわりにおける激しい変化が背景にある」(サンプソン氏)
2018年はフィンテックの台頭など産業構造の変化が現実味を帯びた1年でもあり、フィンテック事業では仮想通貨、ファンドといった金融ビジネスに明るい銀行出身者やアプリケーション開発者の採用が目立ったほか、仮想通貨事業でのサイバー攻撃騒動を受けて、監査/内部コントローラー/コンプライアンスの増員に踏み切る企業が相次いだ。
GDPRを受けてセキュリティ強化の意識が高まり、セキュリティ人材やセキュリティ商品の営業を担う人材の需要も高まったほか、データサイエンティストを確保・活用したい企業の増加や、生産性向上を目的にRPA・ロボット・機械学習技術の活用速度の高まり、およびこれらの先進技術を扱うエンジニア、コンサルタント、営業職の需要も高まっている。
こういったトレンドにともない、専門人材の給与相場は続伸しており、2019年は過去最高レベルの伸び幅に達することが見込まれる。