苦しんでいるならゼロから採用を考え直す
最後に、ギブリー自身がどのようにしてエンジニア採用に成功しているかが紹介された。同社は、従業員数100人弱のSaaSベンダー。うちエンジニアは20人弱。「ベンチャーとして頑張っているが、とても有名な会社ではない」と山根氏は自社を評価するが、年に数人程度のエンジニアは求人を出してから1.5か月程度でクロージングに至るという。その背景には、エンジニア主体で採用プロセスを設計していることがある。
「当社が目指しているのは、エンジニアにとってより良い選考の体験を作ること。エンジニアが正しく、価値観をアピールでき、お互いの理解を最大化する体験提供を心がけている」(山根氏)
また、そのために採用マーケティングにも取り組む。「候補者ジェネレーション」から始まり、「採用選考」「候補者ナーチャリング」「オファー/クロージング」に至るまでのプロセスを意識しているという。
「候補者ナーチャリング」プロセスでは、trackを使ったテクニカルスクリーニングと、ペアプログラミングでの共同開発体験の提供を重視している。trackを使ったテクニカルスクリーニングの効用は、候補者と採用担当両方の負担を減らし、ミスマッチのない見極めができることにある。trackでのスキルチェックはオンラインで行うため、候補者にとっては時間や場所の制約を気にする必要がない。採用側としても、蓄積してきたデータとの比較で、客観的なスキル評価ができる。さらに、事前にスキル評価が済んでいる分、最後の面接では自社のカルチャーフィットの確認に注力できる。
このような自社での成功体験を基に、山根氏はCandidate Experienceでエンジニア採用を劇的に飛躍させる可能性があると述べ、「体験設計は面白い。小手先の改善で苦しんでいるならゼロから考え直してみてはどうか」と提案し、講演を終えた。