日本CTO協会は、2013年に発足し400名ほどのCTOが加盟する「CTO会」を前身とする。CTOは技術の選択・実行をはじめ、組織マネジメントや技術視点でのファイナンスなど、多岐にわたる知識・判断が必要とされる一方、体系だった教育や知識の整理がされていない。そのため、他のCXOと比べて、学習・相談のできる機会が少なく、それぞれが個別で課題に向き合っているのが現状という。CTO会にはこれを打破したいというCTOが徐々に集まり、2019年9月末時点で会の会員数は400名ほどまで拡大。今回、さらなる発展を目指して「日本CTO協会」の設立へと至ったという。
また、経済産業省が2018年9月に発表したDXレポート内で「2025年の崖」と記述したように、IT活用の現状には多くの課題があり、日本の技術水準は決して高いとはいえない状態。日本CTO協会はそうした状況に危機感を抱いており、企業の壁を越えて知識や経験を共有し、日本を世界最高水準の技術力国家にすることを目標に据えた。
10月2日より個人・法人の会員募集をスタート。2020年までに個人会員400名、法人会員100社の入会を目指す。個人会員の参加資格は、個人として本社団の理念および活動内容に賛同していること、および、企業においてCTOなどの職務に就いた経験があり、優れた実績や知見を持つと本社団が認めた者。会費は無料。法人会員の参加資格は、法人として本社団の理念および活動内容に賛同していること。会費は30万円/年。ともに、本社団が主催するイベントに参加できる、会員向けレポートにアクセスできるといったメリットを受けられる。
同会では、以下の3つの活動に取り組んでいく。
- 1. DX企業の基準作成
- 各社が現状を可視化して把握し指針を立てられるよう、基準を策定する。基準は理事メンバーを中心に複数企業のCTOらで作成し、技術の進化・社会の変化に伴って随時更新していく。また、技術先進企業に結果の公表を働きかけて後進企業がベンチマークにできるようにし、全体の底上げを図る。
- 2. 調査・レポート
- 国内に留まらず国外事情までリーチできるよう、国外のレポートを取り寄せ、許可を得た上で翻訳・共有していく。また、現状分析や展望をまとめた白書を作成。将来的には政策提言までを目標とする。
- 3. コミュニティ運営
- リアルとネットの両軸で、企業の壁を越えたコミュニケーションがとれる場をつくる。リアルでは大規模なイベントを半年ごとに、分科会やワークショップを月1回を目安に開催し、ディスカッションやコミュニティづくりの場とする。ネットではオンライングループを立ち上げ、常に情報交換や質疑応答のできる状況をつくる。なお、リアル・ネットともに参加できるのは基本「会員のみ」とする。
また、同会の理事メンバーは以下のとおりで、そうそうたる顔ぶれとなっている。
- レクター 代表取締役 松岡 剛志氏(代表理事)
- DMM.com CTO 松本勇気氏
- GMOペパボ 取締役CTO 栗林健太郎氏
- VOYAGE GROUP CTO/株式会社レクター 顧問 小賀昌法氏
- カーディナル 代表社員 安武弘晃氏
- グリー 取締役上級執行役員CTO 藤本真樹氏
- クレディセゾン 取締役CTO 小野和俊氏
- ビズリーチ 取締役CTO兼CPO/株式会社レクター 取締役 竹内真氏
- メルカリ 執行役員CTO 名村卓氏
- ヤフー 取締役 常務執行役員CTO 藤門千明氏
- レクター 取締役 広木大地氏