2019年11月27日、東京・渋谷のDeNAオフィス内にあるサクラカフェにおいて、「HRBP CRUNCH #03 戦略人事チームの作り方」が開催された。定員50名のところ100名以上が応募するなど人気を博したこのイベントでは、株式会社ディー・エヌ・エー ゲーム・エンターテインメント事業本部 組織開発部 部長の菅原啓太氏が登壇し、ソフトウェア開発手法である「スクラム」を人事領域に応用して、HRBPグループを戦略人事のできるチームに育て上げてきた話が披露された。本稿では、その模様をお届けする。
HRBP業務にスクラムを導入した理由
新卒入社した企業ではデザイナー・エンジニアとしてWebサイトや業務システムの構築に携わった菅原氏は、2009年にDeNAに入社。広告システム開発、海外事業、プラットフォーム事業、新規事業開発を経て、2015年にHRBPとしてゲーム事業の戦略人事を担当するようになった。
大学卒業後、ITベンチャーにてデザイナー・エンジニアとしてWebサイトや業務システムの構築に従事。2009年にDeNAに中途入社。広告システム開発・海外事業・プラットフォーム事業・新規事業を経て、2015年よりHRBPとして主にゲーム・エンターテインメント事業本部の戦略人事を担当。
そんな菅原氏が3名でHRBPグループを立ち上げたのは2016年のこと。人事一筋ではなく事業部でのキャリアが長い菅原氏には、属人的な人事の仕事について違和感があったというが、当時はグループを組織化し、「1+1」の成果を「2」にするだけで精一杯だった。
2017年になり、HRBPグループが組織として形になり始めた頃、これまでゲーム事業だけだった管掌領域にエンターテインメント事業も加えられることになった。HRBPメンバーを増員して体制を強化していくことになるが、業務の進捗は思わしくなかった。さらに育休を取得するメンバーが出て、仕事の属人化の弊害が表面化。属人化の解消や新しく入ってきたメンバーの育成といった課題に取り組むためにも、菅原氏の中で「スクラム」を利用し、グループを戦略人事を行う“チーム”へ進化させる構想が膨らんでいった。
2018年には、HRBPメンバーも4名から8名に倍増。いよいよスクラム開発のフレームワークを導入し、戦略人事のチーム化を目指すことになる。ただし、メンバー誰もがギリギリの状態で仕事を行っている状況で、新しいやり方を取り入れる余裕などないように思えた。メンバーからは抵抗を受け、ざまざまな声も上がったという。
しかし、菅原氏はそこを押し切ってスクラムの導入を決めた。そして、チームメンバー全員でルールを随時見直しながら取り組みを進めていった結果、スクラムはチームにとってなくてはならないものに変わっていった。その後には、「もっとやりたい」「高みを目指したい」とメンバーが言い出すほどになったという。
今では、個人に依存しない体制が築かれ、チームとしてのパフォーマンスが高位安定している。メンバーが抜けたり長期休暇に入るメンバーがいたりしても、チーム全体のパフォーマンスやバリューのアウトプットは維持できるところまできた。菅原氏は「メンバーの1人が産休に入っただけで忙しくて大変だと言っていた頃に比べると、大幅に進化したように思う」と振り返る。
[画像クリックで拡大表示]
当初は個々に人事の仕事を持つ人たちが集まっただけのグループだったところから、戦略人事の実現という目標を全体で共有するチームへと進化した菅原氏が率いるHRBPチーム。その過程で肝になったものには次の3つがあると、菅原氏は語る。
「1つは『統一された方向性』。どこに向かうのかがずれていると、1+1の成果は2以上になりません。2つめは『プロセス化』です。みんながバラバラな仕事の仕方をしているとチームワークができません。そして、チームワークにもう1つ重要なものは役割分担なのですが、これは『相互理解』がないとできません」(菅原氏)
そして、「統一された方向性」「プロセス化」「相互理解」を実現するために不可欠なものが「コミュニケーション」だと菅原氏は強調する。そして、スクラムのフレームワークは、まさにこれらを網羅的に含むもの。新規事業開発に携わっていた頃に、やはりスクラムのフレームワークを導入し成功していた菅原氏には、その特性・効果が十分に分かっていたようだ。
[画像クリックで拡大表示]
会員登録無料すると、続きをお読みいただけます
この記事は参考になりましたか?
- この記事の著者
-
市古 明典(IT人材ラボ ラボ長)(イチゴ アキノリ)
1972年愛知県生まれ。宝飾店の売り子、辞書専門編集プロダクションの編集者(兼MS Access担当)を経て、2000年に株式会社翔泳社に入社。月刊DBマガジン(休刊)、IT系技術書・資格学習書の編集を担当後、2014年4月より開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集に参加。その後、資格学習書と開発者向け...
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

