同調査は、2019年11月28日~29日にインターネットアンケートとして実施され、20~70歳の男女から330件の回答を得ている。
調査が実施された時期は労働基準法改正の7か月後だが、働き方改革の進捗については33.9%が「うまくいっていると思う」と回答し、3割を超える人が働き方改革の進捗に前向きな実感を持っている様子がうかがえる。半面で、「うまくいっていなくて悩んでいる」が32.0%、「うまくいっていないが、このままで良いと思っている」が14.4%と、進捗がはかばかしくなかったり、働き方改革の必要性をあまり感じていなかったりする人も半数近くを占めた。
働き方改革がうまくいっていないと理由(複数回答)の1位は「数字追求型となり、現実的でない目標値の設定」(46.1%)、2位は「働き方改革=残業削減と認識し、残業削減以外の施策をしていない」(37.3%) 、3位は「現場社員が必要性などを理解していないから」 (27.5%)、4位「社内調査や分析で終わっている」(23.5%)が挙がった。同社は、「現場の納得感などがないまま非現実的な目標を設定することや、残業削減とあわせて従業員の意識改革など残業削減以外の施策をしていないことにより、かえって働き方改革の促進を阻害したり、現状把握にとどまり実効性のある施策が後手に回ったりしている」と推測。残業削減を基本としつつも、現実的な目標設定のための対話や従業員を巻き込んだ施策を進めることが有益だと指摘する。
また、「コミュニケーション・社員同士の懇親の場づくり」についてみると、働き方改革の進捗について「うまくいっている」という実感を持つ人(全体の33.9%)の約6割が取り組む一方で、「うまくいっていない」人においては約4割の実施にとどまった。組織の成功循環モデル(マサチューセッツ工科大学ダニエル・キム氏提唱)では、組織が成功したりゴールを達成したりするためには“関係の質”(チームメンバーなどとお互いに理解を深め、尊重し合い、一緒に考えるといった対人関係の質)に着目することが重要とするが、働き方改革を進めることにおいても「社員同士の懇親の場づくり」などで関係の質を高めることが有効だろうと、同社では述べている。
そのほか、次のような点が同調査で明らかになったという。
- 働き方改革がうまくいっていると答えた企業は従業員満足度、業績が向上
- 約6割の企業が働き方改革の専任担当者を設置もしくは設置予定
- 来期の働き方改革に予算を用意している企業は約4割、「1000万円以上」も1割超
- 2020年に働き方改革の一環として取り組みたいことは「風通しの良い職場環境作り」「隠れ残業の根絶」「シニア世代の活躍」