「コードを1から書く」試験で本当の実力を測る
――アルゴリズム実技検定はどういった検定なのか、簡単にお聞かせください。
アルゴリズム実技検定はひとことで言うと、プログラミングスキルを可視化する検定です。検定ではまず、「プログラムを、いかに出題文に書かれたとおりに正確に実装できるか?」という点を確認します。そこから徐々に問題の難易度を上げていき、ふつうに作ると計算時間がかかってしまうプログラムを数学的な工夫やアルゴリズムなどを用いて高速に実行できるものに作り込んでいくスキルなどを測っていきます。
最大の特徴は、「コードを1から書く」という点です。従来のこうした試験では穴埋め問題や選択問題がほとんどでしたが、これだと前後関係である程度正解が推測できてしまいます。これでは本当のプログラミングスキルは測れません。与えられた仕様を自力でロジックに落とし込んでいく、本当の実力を見る試験が必要です。アルゴリズム実技検定は、むやみに高度な知識を問うのではなく、実際にプログラムを書かせて「プログラミングの基礎体力」を高い精度で判定できる点が新しく、また画期的だと自負しています。
――「出題文に書かれたとおりに正確に実装できるか?」というあたりを、もう少し説明していただけますか。
具体的には、「計算式をできるだけ少なくして、なおかつ計算時間を短縮できるプログラムを書けるかどうか」ですね。検定では5時間で15問を解いていきます。最初の6問は計算としてはそう大変ではありませんが、ロジックなどが複雑なので、それを的確にコードに落とし込む能力が試されます。
7問目以降は単純に組んだだけでは計算時間の制限に引っかかるので、何かしら工夫する必要がある。一般の人が「アルゴリズム」というと、この7問以降の「工夫を要する」ものをイメージしがちですが、6問目までの「与えられた仕様から正確にロジックを起こす」のも、もちろん十分なアルゴリズムの能力が要求されます。まさに全問にわたって“アルゴリズム実技検定”なのです。
検定結果に応じて、「エントリー」から「エキスパート」まで5段階の公式認定が用意されています。エントリー認定には25点を取る必要がありますが、それに満たなかった場合には“判定なし”になります。

2008年にMicrosoftが主催するプログラミングコンテスト「Imagine Cup」で世界3位を獲得。その後、ICFP Contestの4度の優勝、TopCoder Openの2度の準優勝など、世界トップクラスのプログラミングコンテストで好成績を残す。 2012年にプログラミングコンテストを開催するサービス「AtCoder」を立ち上げ起業。現在では、毎週1万人近くが参加する、日本最大の競技プログラミングコンテストに成長している。
――そもそもこの検定を始めてみようと考えた、きっかけや経緯は何でしょう?
AtCoderではプログラミングコンテストを2012年から開催してきましたが、参加者は学生が主体でした。これを社会人にも範囲を広げて、より多くの方が自分で実力を測れる試験を提供しようというのが、アルゴリズム実技検定のコンセプトです。ほとんどの社会人は仕事が忙しくて、毎週土曜日、2時間がかりのコンテストに参加する暇がありません。しかし、潜在的なニーズを見れば圧倒的に社会人のほうが多いはずなので、そうした方々にも広く利用していただける仕組みを考えていました。
また、社会人に利用してもらうには、信頼できる企業や団体が主催している検定でないとなりません。ご縁があって弊社は電通と資本提携したのですが、同社からアルゴリズム実技検定をさまざまな企業に提案してくれています。今後、知名度も参加者の幅も大きく広がっていくと期待しています。