丁寧なエンドユーザーサポートがシステム導入成功のカギ
最後のセッションでは、4名によるパネルディスカッション「各社の管理部門が赤裸々に語らう この1年間で取り組んだバックオフィス業務改革とは?」が行われた。パネリストは、株式会社オカフーズ 事業支援本部 経理部 部長代理 鈴木香奈恵氏、株式会社 JTB沖縄 経営企画課 グループリーダー 桒原健二氏、リゾートトラスト株式会社 IT推進部 IT戦略企画課 課長 立花秀樹氏。モデレーターは、株式会社マネーフォワード クラウド経費本部 本部長 今井義人氏が務めた。
1つ目のトピックは、経理業務において「コロナでどんな変化がありましたか?」。桒原氏は、できる限り出社を控えるようにという指示を受け、それに従ったものの、在宅勤務・テレワークではどうしても対応できない業務があったと明かす。しかし、マネーフォワード クラウド経費を導入した経費精算をはじめ、部分的にはシステム化されている業務があり、それらについてはコロナ禍の影響を受けなかったという。働き方としても、システム化された部分をより積極的に活かす方向にシフトするとともに、在宅でもできる業務と出社が必要な業務とを切り分けて行うようになったと述べた。
鈴木氏は、オリンピックを視野に入れてテレワークの導入に動いていたため、コロナ禍で出社が難しい状況になっても動揺はなかったという。ただ、導入のスピードは格段に上がった。経理部としては対応に苦慮しそうなところだが、マネーフォワード クラウド経費をまさに導入し終えたタイミングで、経費精算については全社的にテレワーク対応ができたとした。
立花氏も、すでにペーパーレス化を推進していたため、コロナ禍でも大きな問題は発生しなかったと明かす。経理部も全員が出社せずリモートワークを行っても、業務は滞りなく進んだと胸を張った。
2つ目のトピックは「新しい取り組みを社内へ浸透する際に気を付けていることは何ですか?」。自社は社員40数名の規模なので、新しい取り組みについては社長からのトップダウンによる指示に従う形を取っているという鈴木氏。しかし、全員一律の説明会などでは、どうしても2割ほどの社員は取り残されてしまう。以前はその2割の人に都度対応を行っていたが、最近ではもっと積極的にフォローする動きになっている。経費精算でいえば、マネーフォワード クラウド経費の小回りの利く設定機能を使ってその人専用の機能を追加したり、マニュアルも個別に作成したりしている。もちろん、それにかけられる時間は限られているので、さまざまなツールを組み合わせてうまく利用することで作業を効率化している。
桒原氏は、どんな仕組み・システムも運用がうまくできなければ意味がないと強調。また、うまく運用していくためには、エンドユーザーである従業員が仕組みを理解し、「これを使うと絶対便利だ」と納得してもらう必要がある。そこで、従業員一人ひとりに、新しい仕組み・システムを導入した場合にどのようなメリットがあるか、将来的なことも含めて丁寧に説明。マネーフォワード クラウド経費もそうして少しずつ社内の利用を増やしていったという。さらに桒原氏は、運用のためには新しいルールや規定を作ることも大事であるけれども、むしろ、熱意や説得力といった人間的な部分のほうが納得感が大きくなると指摘した。「ポジションの上下にかかわらず、熱心に取り組んでいくことが非常に大事だと思います」(桒原氏)
立花氏は、最近よく経営陣から「システムを導入しても従業員に使ってもらわなければ意味がない。だから、徹底的に使ってもらえ。使い切れ」と言われるのだという。システムを使い切ってもらうためにどうするか。マニュアルを渡すだけでは読んでくれない人もいるので、動画のマニュアルを作成した。請われれば説明会も開いている。システムの利用者側は使い勝手にとても敏感なので、できるだけ簡単に説明し、実際に使ってみて便利さを実感してもらう。立花氏は「IT部門としてはそうした準備・対応を第一にしっかり行うようにしている」と述べた。