システム化できず運用でカバーしていることとは?
3つ目のトピックは「システム化できず運用でカバーする判断をしたエピソードがあれば教えてください」。具体的には、マネーフォワード クラウド経費で対応できていないところを運用でどうカバーしているかを尋ねたものだが、桒原氏は例として代理承認を挙げた。上長承認が止まっている場合でも、その上長がいま承認できる状況にあるのかどうかは分からない。ここはシステムで把握して対応するということは現状できないため、現場が機転を利かせる必要があるとした。
立花氏もやはり承認について触れた。承認者が忘れているケースは少なくない。そこで、2週間滞っている承認があれば、システムがメールを送信する仕組みを開発したという。運用でカバーする部分ももちろんあるが、ITでできる部分はITを活用することが有用でしょうと、立花氏はIT部門らしい意見を披露した。
4つ目のトピックは「プロジェクトを推進する際、経営層から協力を得るために意識していること、工夫していることはありますか?」。桒原氏は少しずつ巻き込んでいくことが重要だという。プロジェクトの一部のメンバーだけで進めようとすると反発が出るし、リスクに気づかないという恐れもある。また、経営陣には定量的に数字で報告をすることが承認や決裁を引き出す上で大切だとした。
最後にまとめとして、各パネリストから次のようなコメントを得てパネルディスカッションは締めくくられた。
「コロナ禍で紙やはんこをなくすペーパーレスが有用であることが明らかになりました。紙を使って手作業している業務をいかにデジタル化するかは今後の重要課題だと思います。この流れは決定的ですので、そうなるものだと思って取り組んでいく必要があります」(立花氏)
「企業において、財務・経理機能はますます重要になっていくと思います。これからはより早く経営判断をして市場にコミットしていく必要がありますが、その指針となるのが月次の数字や財務の確定数値です。ここを決められる経理部門は、経営に一番大事な材料をつくっているわけです。もっと重要性を増すでしょう。変革を恐れるのではなく、より早く・より正確な経理を追求していただきたいです」(桒原氏)
「コロナ禍によって出社できなくなりましたが、オンライン会議ツールなどを使って社外の人とつながるようになりました。経理の人はこれまで社外の人とつながることはほとんどありませんでしたが、これをきっかけにいろんな場に出ていけるように思っています。他社の経理部門の方とお話ができる機会がもっとあってよいと思いますので、お声掛けいただけたら幸いです」(鈴木氏)