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なぜあの企業はLGBTを積極的に受け入れているのか――求人メディアJobRainbowが広げるダイバーシティ

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2021/04/15 08:00

 LGBTに対する社会的認知が広がる中で、ダイバーシティ(多様性)を組織やチームの強みとすることを目的にLGBTを積極採用する企業も増えてきた。一方で、LGBTに対する偏見や差別はなくなったとはいえない。これに企業はどう取り組めばよいのだろうか。また、LGBTの受け入れをはじめ、ダイバーシティを高めることにはどのようなメリットがあるのか。「差異を彩へ。自分らしくを誇らしく」をビジョンに掲げ、LGBTを含め多様な背景を持つ人材を採用できる求人サイト「JobRainbow」を運営する株式会社JobRainbowで代表を務める星賢人氏に話を伺った。

LGBTが日々感じている生きづらさ・働きづらさとは

――まずはJobRainbowの事業について紹介いただけますか。また、なぜ星さんが同社を設立するに至ったのか、理由や経緯をお聞かせください。

 誰もが一人ひとりが異なる中で、その違いやダイバーシティを組織の強みとし、それを一人ひとりの自信につなげていく社会づくり。それが私たちJobRainbowがビジョンとする「差異を彩へ。自分らしくを誇らしく」の具体的なイメージです。

JobRainbowのWebサイトへ
JobRainbowのWebサイト
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 “差異”とは「他と違うこと」ですが、私自身もゲイで「生きづらさ」をずっと感じてきました。大学ではLGBTのサークルを主催したのですが、活動を通じてLGBT以外にも障害の有無や国籍などのマイノリティが「生きづらさ」を抱えて生きていることを知り、同時にその原因が個人のせいではなく、多くは社会の側に問題があることも見えてきたんです。そこで多彩な個性を持つ一人ひとりが生きづらさから解放され、豊かな人生を送れるよう、社会のシステムや仕組みを変えたいと考えるようになりました。

 直接的な起業のきっかけは、大学時代、就活をしていたトランスジェンダーの先輩が面接時にひどい扱いを受け、就活を諦めたことです。それならば、自分たちでLGBTに理解のある会社を見つけようと、JobRainbowを立ち上げ、2016年1月に法人化しました。就職支援サイトの運営のほか、企業へダイバーシティ研修やeラーニングなどの提供、また企業とのタイアップでLGBT向けのオンラインキャリアアップスクール「PRIDE SCHOOL」も立ち上げました。

星 賢人氏
星 賢人(ほし けんと)氏
株式会社JobRainbow 代表取締役
1993年生まれ。22才で東京大学大学院在学中に起業。数々のビジネスコンテストにて優勝、フォーブスが選ぶアジアで最も影響のある若者30人(Forbes 30 under 30)の社会起業家部門に日本人として唯一選出。ソフトバンクの孫正義が直々に選出した孫正義育英財団の財団生としても選出。若手起業家として、国内・海外のテレビやマスメディアなどでも注目を集めている。

――LGBTである人が就職・就労するときには、どのような障壁があるのでしょうか。一般に認識されていないことも少なからずあるように思います。

 職場環境の課題は、ハード面とソフト面の両方にあります。LGBTは「性的少数派」としてまとめて扱われがちですが、問題と感じていることはそれぞれのセクシャリティによって異なります。

 まず、ハードについては施設面などの課題があります。例えば、男女で異なる制服があること、トイレや更衣室が男女に分かれていて個室がないなど、特にトランスジェンダーにとっては耐え難いことも少なくありません。その結果、そこでの仕事が好きでも、就職を諦めてしまうということも度々あります。

 ソフト面については、コミュニケーションやちょっとした言葉といった、心の問題が大きいですね。同性愛に対する「気持ち悪い」という発言やお笑いのネタ的な扱いなど、あからさまな差別的言動だけでなく、ちょっとした雑談――例えばレズビアンに「彼氏は?」と尋ねるなど、些細な言葉や態度が積み重なることでストレスとなることもままあります。また、「黒人なのに頭がいい」「ゲイだから面白くてファッションセンスがある」など一見褒める言葉でも、その裏にある「あなたとは違う」というメッセージや「この属性の人はこう」という決めつけに差別を感じるということもあります。そうしたアンコンシャスバイアス(無意識な偏見)によるマイクロアグレッション(微細攻撃)が積もりに積もって大きなストレスになることが多いのです。

 また、組織の対応として、同性パートナーシップなど制度の不備や、LGBTに理解がある相談窓口がないことなども挙げられます。たとえば、性別適合手術を受けたいと思ったときに治療のための有給や費用援助は受けられるのか、またパートナーが病気になったときに異性パートナーと同様の対応をしてもらえるのか。制度や対応がないのはやはり問題だと思います。そもそも日本ではLGBTは個人の趣味嗜好と捉えられがちで、例えば、同性パートナーは単なる同居人とされてしまうような現状になっています。いわば国から普通に受けられるはずの社会サービスを受けられず、企業側もマイナスとなっているものを埋める対応ができていないのです。

 スタートをフラットにするためのハード面、ソフト面そして制度面とも、日本の社会や企業では十分に備えられていないというのが実状です。

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著者プロフィール

  • 伊藤 真美(イトウ マミ)

    エディター&ライター。児童書、雑誌や書籍、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ライティング、コンテンツディレクションの他、広報PR・マーケティングのプランニングも行なう。

  • 市古 明典(HRzine編集長)(イチゴ アキノリ)

    1972年愛知県生まれ。宝飾店の売り子、辞書専門編集プロダクションの編集者を経て、2000年に株式会社翔泳社に入社。月刊DBマガジン(休刊)、IT系技術書・資格学習書の編集を担当後、2014年4月より開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集に参加。その後、2017年7月にエンジニアの人事をテーマとする「IT人材ラボ」を立ち上げ。2020年8月に人事全領域にテーマを広げた「HRzine」をスタートさせた。

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2021/04/15 08:00 /article/detail/3070
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