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インタビュー《健康経営》| 新型コロナワクチン

新型コロナワクチンで改めて考える 企業の感染症対策はどうあるべきか

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 新型コロナウイルス対策が日常化する中で、企業もまた従業員の健康を守り、事業を継続するために適切な対策をとっていくことが求められている。国や自治体の動きや感染状況が日々変化し、個人の考え方も多様化する中で、企業はどのように新型コロナウイルスのリスクを捉え、施策を立てていくべきなのか。そもそも感染症対策とはどうあるべきなのか。法人向けヘルスケアサービスを提供する株式会社iCARE 代表取締役 CEOであり、自身も産業医である山田洋太氏にうかがった。

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感染症対策はルールの明文化から

――新型コロナウイルスに限らず、SARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)など、世界ではパンデミックが定期的に生じています。そうした中で、企業はどのように対応していけばよいのか。基本的な感染症対策についてお聞かせください。

 まさに「新型コロナに限らず」というところがポイントになりますね。もはや、いつどのような感染症がパンデミックを引き起こすのか。予測はできませんが、断続的な到来は必至と考えられています。そもそもインフルエンザであっても、事業場内の感染率が20%を超えると事業の継続が難しくなるので、まずは「BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)」として感染症対策を考える必要があります。これは地震などの災害と同じ、“有事”の対応です。

山田 洋太氏
山田 洋太(やまだ ようた)氏
株式会社iCARE 代表取締役 CEO。
金沢大学医学部卒業後、2008年久米島で離島医療に従事。顕在化された病気を診るだけでなく、その人の生活を理解しないと健康は創れないことを知り、経営を志す。2010年慶應義塾大学MBA入学。2011年株式会社iCAREを設立。2012年経営企画室室長として病院再建に携わり、病院の黒字化に成功。2017年厚生労働省の検討会にて産業医の立場から提言。2018年より同省委員として従事。

 そしてもう一つ、「従業員の健康を守る」という観点から、感染症は従業員の健康を損ねかねない重要事項として、“平時”の対応も求められつつあります。従来はインフルエンザにかかっていても出社する人が多かったのですが、近年は感染症への理解が進み、感染者に対して出勤停止する企業も増えてきました。会社の中での感染を防ぐためであり、「感染者の任意ではなく、会社の指示として休ませる」という判断がなされているわけです。

 つまり、有事と平時と、2側面からの感染症対策が必要というわけですが、当然ながら相互に深く関係しており、平時の対応が、そのまま有事の判断に直結します。つまり、平時からしっかりと対応することが必要です。

 それを怠るとどうなるか。例えば、ノロウイルスや風疹・麻しん、インフルエンザなど、感染症にかかった社員の出勤が常態化している会社で、同僚である妊婦に感染させて流産となった場合、黙認していた会社の責任も問われ訴訟のリスクを負うことになります。クラスターが発生すれば、事業継続性に加えて会社自体が社会的責任を問われることもあるでしょう。労働安全衛生法では、「企業は従業員に対して健康管理を行う義務を負う」と定められており、会社は「他の社員の健康を阻害する可能性がある人の行動」を制御する必要があるわけです。

 しかしながら、“有事のみ”のルールや制度を作っても実践されることはまずありません。「子どもが流行感冒にかかったら、その親は在宅にする」といった平時のルールが浸透していなければ、いざ有事というときに従業員は判断できないのです。

――なるほど、平時からのルール作りが大切というわけですね。

 そうですね。かつて日本では「無理をしてでも働くこと」が権利または美徳とされ、組織による出勤停止などの判断がとられにくい傾向にありました。しかし、新型コロナウイルスの蔓延によって、個人の権利よりも最大幸福が優先されると判断し、感染症に対して「会社としてルール作りをしておくべき」と考える経営者が増えています。ルールは、先に述べたような「BCPを意識した有事のルール」と「従業員の健康を守るための平時のルール」の両面から考え、具体的に明文化しておくことが必要です。

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この記事の著者

伊藤 真美(イトウ マミ)

エディター&ライター。児童書、雑誌や書籍、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ライティング、コンテンツディレクションの他、広報PR・マーケティングのプランニングも行なう。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

市古 明典(HRzine編集長)(イチゴ アキノリ)

1972年愛知県生まれ。宝飾品会社の社員、辞書専門編集プロダクションの編集者を経て、2000年に株式会社翔泳社に入社。月刊DBマガジン(休刊)、IT系技術書・資格学習書の編集を担当後、2014年4月より開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集に参加。その後、2017年7月にエンジニアの人事...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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