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HRzineニュース

「従業員を大切にする健康経営の実態と展望」を発表、従業員の「身体の健康」以上に「心の健康」を重要視する経営者は1.4倍―ノストライフ

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 ノストライフは、「人的資本経営の視点からの健康経営アンケート調査」を実施し、その結果「従業員を大切にする健康経営の実態と展望」を発表した。

 調査の概要は以下のとおり。

  • 方式:現役社長500人に対するインターネットでのアンケート調査
  • 目的:企業トップの従業員の健康に対する考え方を通して、人的資本経営と健康経営の接点を探索する
  • 期間:2022年5月19日~26日
  • 条件:従業員50人以上の企業の現役社長(労働安全衛生法上の産業医設置義務・ストレスチェックの実施義務が50人以上の従業員がいる事業所に適用されることを踏まえた)
  • 有効回答数:529人

 調査の結果については、同社は以下のように述べている。

【認識】従業員の健康は重要な経営課題。企業にとってのメリットよりも従業員ファーストを優先

 まず、「あなたの会社での従業員の健康に対する位置づけ(重要性)」について尋ねた。78.2%の社長が、従業員の健康は企業として取り組む重要なテーマであると認識している。内訳としては、約4割(38.9%)の社長が、経営者が率先して取り組む攻めの経営(オフェンス)の重要テーマであると認識している。「法令遵守(20.8%)」や「人事労務管理(19.1%)」といった守りの経営(ディフェンス)の重要テーマであるという認識の約2倍である。

従業員の健康に対する位置づけ
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 続いて、「あなたの会社での健康経営への認識と取り組み」について尋ねた。57.5%の社長が、健康経営を理解し、自社での取り組みを展開している。従業員規模が大きい企業ほど積極的な取り組みを展開し、「健康経営認定取得を目指す(23.6%)」という傾向が高いことが分かる。背景としては、資本市場への情報開示事項の中で健康経営への取り組みが本格化していく傾向にあることが関連していると推察される。なお、従業員規模が小さい企業の中には、「ほとんど知らない(34.9%)」という企業もあり、規模による温度差があることが分かる。

健康経営への認識と取り組み
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 「企業が健康経営に取り組む目的・メリット」についての回答では、「企業価値やブランドイメージの向上(34.4%)」や「企業業績の向上(28.5%)」のように、「企業にとってのメリット」を追求する意識よりも、「従業員満足度の向上(51.0%)」「従業員の健康意識の向上(44.4%)」のように、「従業員ファーストの意識」が先行しており、人を大切にする日本的経営の姿が見える。「人的資本経営」が日本企業の強みとなり得る所以(ゆえん)である。

健康経営に取り組む目的・メリット
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【方向】ウェルビーイングの実現を重要視。企業と従業員の共通の健康目標をつくりPDCA活動を展開

 調査結果からは、「食事」「運動」「睡眠」といった「身体の健康」に係わる要素よりも、「心の健康」を重要視していることが分かる。「非常に重要視する」という回答の比較では、「身体の健康」よりも「心の健康」を1.4倍重要視している。また、「身体の健康」よりも「人とのかかわり」を1.1倍重要視している。一方、従来型の「不健康な生活習慣の改善」は、「ある程度重要」という認識にとどまる。このことから、健康とは、単に「病気ではない」「弱っていない」ことではなく、「肉体的にも精神的にも社会的にも、トータルに満たされたコンディショニングの状態(=ウェルビーイング)」であることを重要視していることが分かる。

健康維持のために重要視している生活習慣
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 そして、ウェルビーイングに向かって健康経営を進めて行く際に企業として率先すべきことは、「経営者のコミットメント(47.3%)」のもと、「企業と従業員との健康目標の共有(30.1%)」を図り、「従業員の健康を大事にする仕組みづくり(28.2%)」を導入していくことである。

健康維持のために企業が対応すべきこと
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 健康経営は、「従業員の健康の維持・増進」と「企業業績の向上」の両立を目指す経営上の重要な制度・施策として、情報に基づいたPDCA活動を展開することが重要である。調査結果からは、「定期健康診断の実施率(58.4%:非常に重要視している)」「総労働時間数・残業時間数(36.7%)」「ストレスチェックの結果(34.8%)」をモニタリングすべき情報として重要視していることが分かる。

 DXの流れを受け、HR Tech(=人事領域におけるデータ活用)が加速している昨今では、「エンゲージメントサーベイ(従業員の企業に対する満足度・関わり合いの深さを定期的にスコアリングする意識調査)」「パルスサーベイ(簡易な意識調査)」「健康状態を測定するアプリ」など、多様なデータが溢れており、まずは、身近にある健康関連データである「健康診断」「労働時間」「ストレスチェック」をきちんと活用することが重要である。定期健康診断やストレスチェックは、労働安全衛生法の要請により「実施」することが求められているが、そうして得たデータを「活用」することを徹底すべきである。身近な健康関連データを活用して、「企業と従業員との健康目標」を共有化し、定期的なサイクルでPDCA活動を展開していくことが大切である。

モニタリング項目
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【課題】内容も予算措置も、一過性ではない本質的な健康経営の制度・施策の導入が課題

 ここまでは、企業のトップが「従業員ファースト」の視点から従業員の健康の大切さを認識し、「ウェルビーイング」の実現を目指す総合的な健康経営を、「身近な健康関連データ」を活用してPDCAを展開するという方向性を見てきたが、実態として、企業が積極的に健康経営の制度・施策を展開できていないとしたら、何が課題なのだろうか。「従業員の健康に役立つ施策を用意しても、従業員が利用・継続しないと思うことは?」という設問を通して、社長が危惧している企業と従業員とのギャップについて尋ねた。

 「忙しくて時間が取れない(38.7%)」「自分は大丈夫(32.9%)」「やりたい人がやれば良い(27.0%)」などの回答が上位に並ぶ。そして、実際にこうした回答を寄せる従業員こそが、企業として最もケアすべき重要な対象者となる。健康が大事であることが判っていながら結果として後回しにせざるを得ない従業員や、健康への関心が低い従業員こそが、心身の健康を病んでしまうリスクを抱えている予備軍であり、企業として積極的に関与すべき対象者である。

 一過性の健康イベントや、従業員一人ひとりが自分の好みで福利厚生サービスを選ぶ「カフェテリアプラン」では、「企業にとって最も重要な資産(資本)である従業員」の健康を、企業がイニシアティブを持って継続的に維持・増進することはできない。従業員の健康が、企業と従業員にとって重要な経営課題であることが従業員にしっかりと伝わる、本質的・継続的な改善活動としての制度・施策が求められている。

健康経営の制度・施策の導入について
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 では、企業がイニシアティブをとって健康経営を推進するための制度・施策には、どれぐらいの予算を向けるべきだろうか。調査結果からは、安ければ安いほど良い(一人当たり月額1000円未満)という認識は低く、「1000円~5000円未満(48.0%)」「5000円以上(30.6%)」といった予算規模が、「人的資本経営の要である従業員への投資」としての相応の水準として考られていることが分かる。

健康経営を推進するための制度・施策の予算
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