日本でも注目が一気に高まっている人的資本経営。2020年の経済産業省による「人材版伊藤レポートの公開」、2021年の東京証券取引所による「コーポレートガバナンス・コードの改定」に続き、去る8月30日に、内閣官房非財務情報可視化研究会より「人的資本可視化指針」が公開されました。しかし、同指針は資料色が強く、人的資本開示に何から取り組めばよいのかを知るには物足りないようです。本記事では、先行企業の事例を交えながら、人的資本開示の準備と進展に応じたアクション案、人的資本開示を支援してくれるHRテックについて、前後編で解説します。前編である今回は、人的資本開示の項目を分析し、人的資本開示の準備における注意点をお伝えします。
人的資本開示の項目とは
まずは、人的資本開示が日本企業に求める項目を、経済産業省「非財務情報の開示指針研究会」における人的資本に関する議論内容や、内閣官房「非財務情報可視化研究会」の取りまとめ内容から分析していきましょう。
可視化と実践の連動
人的資本開示では、次の要素を連携させながら実践し、可視化していくことが求められます。
- 競争優位性を確保するためのビジネスモデルの明確化等戦略の構築
- 戦略を実現するために求められる人材像の特定と提示
- 人材を獲得・育成していくための人材戦略
- 結果をモニタリングするための目標やKPI設定やベンチマーク情報
「価値向上」と「リスクマネジメント」の2軸による項目化
日本企業の特徴を加味しつつ、人的資本への投資の質・量および企業価値の向上を連動させるための項目として、次図の観点が求められます。
まとめると、日本における企業の人的資本開示のラインは、すでに存在している健康経営指標(ホワイト500)や女性活躍推進指標(えるぼし、くるみんなど)、コーポレートガバナンス・コードなどで表されている項目がベースです。その上で、スキルや資格取得、社内外の教育研修への投資といった、人材育成に関する投資と投資に対する効果を定量的に現す項目が重要視されています。
つまり、取り上げられている項目のいくつかはすでに開示が一般化しているため、その他の開示内容も決まって一定のルール化がなされた今、各企業は対応に動いていると思われます。ただその一方で、義務化が進むことで項目の開示自体が自己目的化し、形骸化する可能性も秘めているのではないでしょうか。
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伊藤 裕之(イトウ ヒロユキ)
株式会社Works Human Intelligence カスタマーサクセス事業本部 シニアマネージャー。2002年にワークスアプリケーションズ入社後、九州エリアのコンサルタントとして人事システム導入と保守を担当。その後、関西エリアのユーザー担当責任者として複数の大手企業でBPRを実施。現在は、17年に渡り大手企業...
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