マイナビは、「中途採用実態調査(2022年)」を実施し、その結果を発表した。
調査の概要は以下のとおり。
- 調査期間:2022年7月8日~7月16日
- 調査方法:インターネット調査
- 調査対象:2022年1~7月に中途採用業務を担当し、募集活動をしており、採用費用の管理・運用に携わっている人事担当者
- 有効回答数:1600件
調査の結果については、同社は以下のように述べている。
正社員の人手不足感
直近半年間の正社員の人手不足感を聞くと、「余剰」が25.4%、「不足」が43.3%と不足感が顕著となった。前年比では、「不足」と回答した割合が4.4ポイント増加した。特に不足している人材は、「スペシャリスト人材(IT人材など)」が49.8%、「役職についていない人材」が45.4%で、現場で即時活躍できる人材やマネジメント職以外の不足感が目立つ。(図1)
今後の中途採用意向は、「積極的」が52.9%、「消極的」が7.3%だった。前年より「積極的」が5ポイント以上増加し、中途採用意向が高まっていることが分かる。業種別では「メーカー」「流通・小売・フードサービス」「IT・通信・インターネット」で「積極的」が高くなった。(図2)
男性育休について
直近1年間に男性育休取得の実績がある企業の割合は57.4%(男性育休取得の権利がある人「1割は取得できた」~「全員が取得できた」の合計)。今後1年間で男性育休が取得できそうと答えたのは約7割となり、取得者が増加することが見込まれる。
一方で、直近1年間の取得実績のうち、最も高かったのは「1割(男性育休の取得権利がある人のうち1割は取得できた)」と、取得権利がある人数に対して実際に取得できた・できそうな人数は少なかった。今後男性育休取得が進むことは見込まれるが、取得権利がある男性全員が育休を取得できるようになるには、まだ時間がかかりそうだ。(図3)
企業の男性育休取得推進への課題として最も多く挙がったのは「取得希望者が少ない」ということだったが、求職者向けの調査では、「取得しづらい雰囲気がある」「収入面への不安」「業務への支障」など、取得したいと言い出せない理由が多かった。今後、自発的に取得を希望できるような職場環境づくりを求められると予測される。(図4)
人的資本について
昨今、欧米を筆頭に人的資本開示を義務化する動きが進み、日本でも8月に「人的資本可視化指針」が発表された。企業に人的資本の情報開示を求める動きについて聞くと、従業員数301名以上の企業は「知っていた」が75.4%、「情報公開を既に行っている・準備を進めている」は33.6%となった。従業員規模の大きい企業ほど認知や実施が進んでいることが分かる。(図5)
人的資本関連で改善したいことは、「コンプライアンスと倫理」「コスト」が上位に挙げられ、特に「コンプライアンスと倫理」は41.9%と最も高く、多くの企業で改善の優先度が高いと認識されている。(図6)
副業・兼業について
副業・兼業の導入について「制度がある」と回答した割合は、前年より7.4ポイント増の68.7%となった。また、企業が副業・兼業の人材を受け入れている割合は46.4%で、制度がある割合に比べて低いものの、前年から5.5ポイント増加していることが分かる。(図7)
副業・兼業の導入理由は「社員の収入を補填できる(37.6%)」「社員のモチベーションを維持できる(37.1%)」が上位となった。また、前年と比べて「新たな知見や人脈を獲得するため(33.0%)」「新事業の発案につなげるため(29.4%)」がそれぞれ約5ポイント高くなった。給与の補填など収入面だけでなく、新たな知見や人脈の獲得、新事業の発案といった、企業の成長に重要なスキル面を理由に、副業・兼業制度を導入する企業も増えているようだ。(図8)
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